from 鳥取 – 14 - とうふ? ちくわ? 鳥取の倹約文化が生んだ優等生。

(2009.04.20)

鳥取生活も数年が経過した今でも、ずっと疑問系の食材がひとつあります。それは「とうふちくわ」。見るからに形は“ちくわ”。でも“豆腐”独特の色白で柔らかな食感。このまま疑問にしておいていいのか! といことで、またまた郷土食の探訪に行って参りました。

今回お邪魔したのは、なんと慶応元年から「とうふちくわ」作りを始めたという、歴史あるお店「ちむら」。聞けば、布袋店では出来立てのちくわなどの練り製品を販売するお店に、一部工場が見学できるスペースと “ちくわ手づくり体験工房”なるものがあるとのこと。

体験と聞けば、やらずにはおれない性分。早速、ちくわ作りにチャレンジすることにしました。もちろん作るのは「とうふちくわ」。まずは材料や器具の説明から始まります。「とうふちくわは、木綿豆腐70%、魚のすり身30%で出来ています「おお~、しょっぱなから疑問解決の糸口が。ということは、割合からいってやっぱり豆腐でしょ。「いえいえ、ちくわです。そもそも“とうふちくわ”を作り始めたきっかけは、江戸時代に因幡藩藩主・池田公が質素倹約を奨励した頃にさかのぼります。その頃、魚は川魚を除いては日常的に食されていたわけではなく、すり身にする魚も少なかったので、かわりに豆腐を使うようになったとも言われています」。なるほど~。水のきれいな鳥取は、おいしい豆腐がいっぱいだからなぁ。

ちくわ専用包丁の使い方から、ちくわの原料の話まで、みんな真剣に聞いています
一番大変な“練り”の作業。魚のいい香りがしてきます

作業はいたってシンプル。すり身をちくわ作り専用の刃のない包丁でのばしながら練り、竹の棒にくっつけるというもの。講師・佐藤さんのお手本を見ていると、「けっこう簡単じゃん」と思う。しかし数分後、それは間違いだったことに気付く。いやはや、実際は難しい! すり身は見た目よりずっしりと重く、粘りもあるのでなかなか思うようにのばせない。なんとか見よう見まねでのばすこと3回。のばすごとにすり身は艶を増し、魚のおいしそうな匂いがしてくる。

今度は竹の棒に巻きつける作業。『ちむら』では今でも本物の竹を使っている。ほんのりとしたすがすがしい香りがいい。はがき大に整形したすり身に竹の棒をのせ、寝かせた包丁ですり身をくっつけていく感じ。これが、またまた難しい。ねっとりしているすり身はなぜか包丁や自分の手にはすぐにくっつくのに、本来くっついて欲しい竹の棒にはなかなか定着しない。あっというまに両手や包丁はべとべとになり、収拾がつかない状態。見かねた講師・佐藤さんから「棒をたてて、包丁をコテのようにして塗りつけてみましょう」と助け舟。なんとか修復をしつつ、このあたりから少し余裕が出てきたのか、みんなに笑顔が戻ってきた。

なかなかの手つき。きれいに整形できています
包丁が難しいときは手でくっつけちゃうのもOK
講師・佐藤さんのお手本。すり身が素直に棒に巻きついていきます。さすが!

そろそろゴール。すべてのすり身を竹の棒にくっつけたら、焼き上げへ。熱を通すと、すり身はだんだんふっくらして、つやつやしたもち肌へ変身。途中、針のついたブラシのような器具で、空気抜きをし約8分で完成! なかなかいい出来と自画自賛しつつ、早速試食。熱々のとうふちくわはパリッとした皮としっとりしたすり身のバランスがよく、魚の旨みも申し分なくおいしい。けっこうビックサイズなのに、あっというまに平らげてしまった。

どんどん“ちくわ”らしくなっていく。こうばしい香りもしてきて、早く食べたい
個性色々、こんがりおいしく出来ました
ガブリとかぶりつき。これがまたおいしい

“ちくわ手づくり体験”は予約制。午前10時半と午後1時からの1日2回で、所要時間は約1時間。1人525円で“とうふちくわ”と“鯛ちくわ”の2本を作ることができます。小学校低学年くらいから体験できます。また、体験のできる布袋店は国道53号沿いにあり、この春開通した鳥取自動車道・河原ICからもすぐ。アクセスも便利になったので、気軽にチャレンジしてみて。

 

『とうふちくわの里 ちむら』布袋店

●鳥取市河原町布袋556
Tel:0858-76-3333
営業時間:9:00~19:00 
無休(元旦は除く)
http://www.toufuchikuwa.com

キャラクターもいます。“とうふちくわくん”
ちくわ以外に“天ぷら”と呼ばれる練り製品も
国道53号沿いにあり、大型駐車場も完備。ソフトクリームなどもあります