from カンヌ あの「レッドカーペット」で有名なクロワゼット通りを歩いて映画祭を味わう!

(2009.05.25)

街中で働く友人達に会うたびに「マルティネス(海岸通り5つ星ホテル)の客室40部屋空いているらしいよ~。」「今年のカクテルパーティーはシャンパンが出ないんだって~。」という「映画祭」嘘か本当か分からないブッ飛ぶ話が開催前から地元っ子の間で噂に上っていた今年の第62回カンヌ映画祭。

「世界規模の景気の後退」、さらには「新型インフルエンザ流行」が加わり今年は「ミニ映画祭」で幕を占めそうな気配も漂う第62回映画祭。まあ、「噂」はあくまでも「インフォメーション」として把握しておきつつ「実際に街中を歩いて今年の映画祭を味わってみよう!」という私的コンセプトの元、「レッドカーペット」「豪華ホテルの数々」で有名な海岸通り「クロワゼット通り」を映画祭期間中ではなく、人ごみが苦手な私は映画祭前日ブラリと歩いてみました。

第62回を迎えるカンヌ映画祭。
風光明媚な南仏・カンヌ。

まずはフェステバルメイン会場周辺へ。現在までに無数のスターが登って来た伝説の「赤い階段」はまだ作り途中。TVで見るより段数が少ないような気もします。その周囲にはジャイアンのようなイメージのお兄さんたちの姿はすでにありセキュリティーはばんぜんのようでした。その目の前のフェスティバル期間中歩行者天国と化した道路になぜか並ぶ沢山の脚立&簡易製椅子……。これは、全国、いや全世界各地からやってきた「追っかけの皆さん。」スターの姿を一目見ようと前日(その前の人もいるらしい。)にすでにこのように席取りをしております。気持ち今年はやっぱり、少なめですね……。

この「レッドカーペット」スターだけではなく、ご招待されたお客様達、抽選でめでたく「ソワレ(夜会)」を当選したカンヌ市民などスターから一般の方までカーペットを登る人は実はピンからキリまで。本物スターはともかくとして、この伝説の階段を登る際は一般人もスターもびっくりなド派手なドレスなんかを着て登っているので、遠目で見ているだけだと正直「階段を上っている人はみなスターだと錯覚してしまうのが「レッドカーペット」の恐ろしさ。階段で両脇にウジャッと固まるカメラマン達の熱い視線&フラッシュをスター並みに浴びるので、ちょっとした有名人気分を超短時間ですが味わえます。

各国のTV関係者が普通に番組撮影をしているこの光景が当たり前のクロワゼット通り
映画祭会場「パレドゥフェスティバル」前は、高級ブティックが軒をならべています。

一般人は試写会終了後、タキシードを着てカメラを首からぶらり下げたか地元カメラマンから「明日X時にうちの写真店にくれば、今夜の写真買えるよ~ん。」とカメラ屋さんの名刺を渡され、次の日に出来上がった写真を見て「人生に1度あるかないかのことだから記念に1枚。」とスター顔負けの「自分ブロマイド」をついつい購入してしまうという一般参加者の壺を抑えたビジネスを展開しているわけです。

レッドカーペット前の歩行者天国。
会場近辺で自然体(?)でインタビューに答える一般市民もはたから見るとスターにみえてしまいます。

「レッドカーペット」話は長くなりましたが、レッドカーペットのお隣は映画国際見本市の会場。中では各国、会社ごとブースに分かれ出店し、世界中の映画関係会社が、配給会社に映画をプロモートする会場です。「映画祭」と「見本市」が同時進行で行われるのは世界でもカンヌだけらしいです。

関係者バッチなしだと入れない会場。
中では、世界中から集まったバイヤーが未来のヒット映画を買い付けしているんでしょうね。

そのすぐお隣はマーケット会場のお隣は「ツアーインフォメーションセンター」。「今夜、泊るホテルを探しているのですが……。」「美味しいイタリアン食べられるお店教えてください。」などなど観光客のコンシェルジュ的役目をしてくれるお姉さん&お兄さんが待機している場所です。残念ながら日本語を話せる方はいません「英語もフランス語もちょっと苦手なの……。」とモジモジ気味の方は後方のカウンターへ即直行しましょう。地元で名が知れたレストランのフライヤーやビジネスカードなんかがおいてありました。入口近くではボールペン、キーフォルダーなどの映画祭オフィシャルグッツも購入可能のようです。映画祭のシンボル「ヤシの葉」がプリントされた使い捨てライター2ユーロ50なり。まあ、コレクターさんもいることですし……!! 妥当な価格なのでしょうか……。

年間通してオープンしているツアーカウンター。
どこから、どうみてもレッドカーペット。

おっ。その右隣りに小さめなレッドカーペット発見。とはいってもこちらは映画祭参加のジャーナリストさんのバッチ受け渡し場。ライターとして、あの予に旅立つ前にいちどでいいからカンヌ映画祭をオフィシャルで取材をしたい!!! というのが私のささやかな夢であります。

とここまできてお腹がすいてきたのでランチタイム。街中にあるオープンカフェでパニーニ&コーラで空腹感をみたします。隣の席の「サングラス」が手放せない金持ち風のお客さん組は、やっぱり「映画祭ゴシップ話」で盛り上がっていました。

目の前はなぜか、無数の観光客。レッドカーペットはこちらではありませんよ~。
爽やかなこの季節はオープンカフェがお勧め。

お腹も満腹になり、街中から細路地を歩いて出たのはプカプカと豪華客船が遠くに浮かぶ青い海を望む海岸通り「クロワゼット通り」。道を挟むと超豪華ホテルが列をなす「ホテル通り」でもあります。ふと、上を見上げると某大手映画会社の垂れ幕が掛っているベランダ。(たぶん、こういう高級な場所ではバルコニーというのが妥当なのでしょうか?)おもわず、「がんばれ!ニッポン」と声をかけたくなりました。そこは、「ぐぐっ。」と我慢してそのまま海に面して一直線にならぶ豪華ホテル前をいや鑑賞。

ホテル「パレ・ステファニー」1980年頃まではこの地が映画祭会場だったそう。
カンヌでホテルといえばやっぱりこちらの「カールトンホテル」。大物スターもこちらのホテルにとまっているのでしょうか。

この手の5スターホテルロビーは毎年映画祭期間中スターの取材、インタビュー場になることが多いので「スター」に会える確率高し! ですが、きちんと正装していなかったり、パスカードがなかったりすると入口でチェックされまずアウト。特に「○●○会社主催パーティー」とかになると「招待状」もしくは「スタッフバッチ」がないともちろんはじきだされます……。といいたいところですが、ばっちり正装をして、スルリと通り抜ける「パーティー泥棒」も実は多かったりするのが「世界のカンヌ」です。パーティー後に招待客に渡されるお土産もきちんといただいて帰る「デキル泥棒さん」もいっちゃったりします。

昨年、日本の某大手レコード会社が開いたパーティー会場になった「マルティネスホテル」
各映画雑誌では映画祭スペシャルTシャツ付きの「カンヌ映画祭特別版」をキオスクなどで販売。お土産にすると結構喜ばれます。

映画祭期間中「ビーチ通り(クロワゼット)」を歩くと「カメラ」や「メディア」を目にすることが当たり前。「コートダジュールの青い海」と「映画」。カンヌ映画祭はゴージャスな雰囲気を歩いているだけで十分楽しめます。

夜は無料でクラシック映画を広~いビーチで鑑賞。
パラソルやビーチチェアーが並ぶプライベートビーチは映画祭期間中「パーティー会場」に大変身。

ともあれ、生まれも育ちもカンヌである本物の「カノワー(カンヌっ子)」は人がうじゃうじゃいる映画祭には街中に出向かないという事が基本です。自称「本物志向」わたくしも映画祭期間中はゆっくりお家のTV前でロゼワインを片手に「スター鑑賞」しちゃおうと思います。