from 東北 – 5 - 上杉神社、鷹山公、life、再生するということ。

(2009.03.18)

林と水堀に囲まれ、往時の雰囲気が残る米沢城跡地。
跡地のほぼ中央に上杉神社はある。
敷地内には上杉謙信公の像をはじめ、伊達政宗公の誕生地など、見どころスポットがそこここに点在。
中でも特に私が目をとめたのは、上杉鷹山(ようざん)公の像。
藩主でありながらも、素朴な姿がぐっと心を引きつける。
名前だけを聞くと「え?誰、その人?」と思う方もいるかもしれないが
このフレーズを聞いたら、「あっ!あの人か!」となるに違いない。
そのフレーズとは「なせば成る、なせねば成らぬ何事も」である。
誰もが一度は聞いたことがあるのではないだろうか。
この名文句を残したお方が、米沢藩再生の立役者・鷹山公だ。

では、どのようなことをされたかのか。そのあらましを簡単に紹介!
───時は戦国。
当時の頭首・上杉景勝公は豊臣家へ忠義を貫き、徳川家康に背く。
戦に敗れた上杉家は越後120万石から米沢30万石へ転封。減封となった後も多くの家臣が景勝公を慕ってついてきた。本来であれば財力が少なくなるのにともない、家臣の役目を解かなければならない中、景勝公は「慕ってくる者を粗末に出来ない」とし、それを行わなかった。
その後、領主は歴を経るが、これといった政策を行うこともなく時は巡る。
結果、現在の換算で約100億円の借金をするほど貧窮し、米沢藩は全国一の貧乏藩へ。
当時の物価から考えると、どうやっても立て直しのきかない負債である。
自己破産寸前の財政の中、鷹山公は藩を継ぐ。
借金返済のため、自身の給料を削減し、下級武士以下の生活を送り、藩の手本となるべく大倹約を行った。そして民芸品「鷹の一刀彫」を領民へ産地品として浸透させ、そこで得た売り上げで財力を回復させたのである。
財政立て直しが成功した背景には、民を愛した領主とその領主を信じた家臣や領民のマインドがあったことも忘れてはいけない。
トップと配下の意思が一体化し、問題を克服した見事な例である。
鷹山公のリーダー性と主従関係が上杉家の最大の武器であったように映る。

ふと現代の経済事情が頭に浮かんだ。
「赤字になりそうだから」との理由であっさりとリストラを敢行する企業。
「会社は社員のためにあるのではない」とし、社員の思いを寄せ付けずの一方的な勧告。
何か他に方法はないのだろうか。
時にはトップ自らかが生活レベルを振り返る勇気も必要である。
自分の暮らしが大切なのか、社員の家庭が大切なのか。
お金も財であれば、人もまた財である。
商談は一瞬で決まる可能性があるが、人は時間をかけなければ育たない。
今こそ「会社の武器とは何か」を考えるべきではないだろうか。
商売繁盛のご利益があるとされる上杉神社。
ビジネスに携わる方はぜひ、参拝してみてはいかがだろうか。
きっと自分だけの「商い」の本質を見つけることができるはず。

さて神社参拝の締めは、今回もおみくじ!
またまた出ました「新しい才に恵まれる」のお告げが。
やっぱり今年は期待が高まる一年だ。「まなぶ」の再生を目指し、勉学に励もう!
「なせば成る、なさねば成らぬ、何事も」の精神を忘れずに。

 

【上杉神社】

●山形県米沢市丸の内1-4-13
Tel:0238-22-3189
料金:拝観は無料
『稽照殿』入館料 大人400円、高・大学生300円、小・中学生200円
拝観時間:6:00~17:00(12~3月は7:00~17:00)、『稽照殿』9:00~15:45
無休(『稽照殿』は12~3月中旬休館、1月1~3日、2月第2土・日曜は開館)
交通:JR山形新幹線米沢駅から市民循環バス右回りで10分、上杉神社前下車すぐ