シェアリング・エコノミーと新しい旅のかたち-1-ホーム・シェアリング・システム、
『エアビーアンドビー』とは?
(2015.04.16)
いよいよ来年に迫ったリオデジャネイロ・オリンピック・パラリンピック。宿泊施設の公式サプライヤーのひとつとして、ホームシェアリング・コミュニティ『Airbnb(エアビーアンドビー)』が発表され、注目を集めました。さるロンドンオリンピック2012でも話題を呼んだ『Airbnb』は、経済のニューウェイブ「シェアリング・エコノミー」を代表する存在とも言われています。その成立と発展、ロンドンオリンピックでの活躍と人気リスティング、『Airbnb』が提案する新しい旅をご紹介します。
シェアリング・エコノミーとは?
「シェアリング・エコノミー」とはなにか。コミュニティ内で余っているものを、希望する人が利用できる経済システムです。お金が発生する、しないはケースによります。インターネットやSNSのテクノロジーを駆使したコミュニケーションが特徴で、ウィッシュリストを共有、できる人が誰かのやりたいことを実現したり、ほしいものを交換。持てる者が持たざる者をサポートする、過剰生産物を単独所有するのではなく共同利用する消費スタイルです。過剰生産物に限らず、業者を介さないP2P(Peer-to-Peer)経済、生産者とそれを欲しい人がダイレクトにやりとりする場合も含まれます。
このシェアリング・エコノミーの代表例が、オンライン上のルーム・シェアリング・コミュニティ『エアビーアンドビー(Airbnb)』、eコマースマーケット『エッツィ(Etsy)』、地域で家事や作業を助けあう『エニータイムズ(Any+Times)』です。
欧米を中心に利用者増。
注目のホーム・シェアリング・コミュニティ『Airbnb』
さる3月27日、リオ五輪本部の記者会見で『エアビーアンドビー(Airbnb)』が2016 リオデジャネイロ・オリンピック・パラリンピックの宿泊施設の公式サプライヤーに加わったことが発表されました。欧米を中心に、旅行や滞在に利用者が増えている『Airbnb』どはいったいどのようなシステムなのでしょうか。
『Airbnb』のサイトには世界各国の都市で、部屋を有料開放するホストと、それを利用したいゲストが登録しており、ゲストは気に入ったリスティング(宿泊物件)が見つかったら『Airbnb』のサイトを介してホストにリクエスト。ホストはステイのOK、NOを同じくサイトを介してリプライ。予約のたびに金額の6~12%のサービス料金、ステイが成立したらその代金の3%の手数料が『Airbnb』の利益になります。
『Airbnb』のサイトはデザイン・コンシャスで、ワンルームからお城、ツリーハウスまでリスティングは、バラエティに富み、各都市のホストによるオリジナルなローカル情報も満載。アクセスするだけでも楽しいものになっています。
エアベッド&ブレックファスト
Airbed & Breakfast を提供したのがはじまり。
ところで『Airbnb』にはどのようなバックグラウンドがあるのでしょうか? そのはじまりの物語、ネーミングの由来がユニークです。『Airbnb』の本社はサンフランシスコ、そこで2007年にスタート。3人の創業者のうちの2人、CEOブライアン・チェスキーと CPOジョー・ゲビアは、ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン出身のインダストリアル・デザイナー。CTOのネイサン・ブレチャージクは、ハーバード大学でコンピューター・サイエンスを学び、現在テクニカル・ストラテジーの担当です。
かつてひとつの部屋に同居していた3人ですが、家賃が高くなって困ってしまった。ちょうどその時、ロードアイランドでは大きなインダストリアル・デザイン・カンファレンスが開かれ、まったくホテルが取れない状況。そこで3人は、部屋&ベッドを貸そう、でもあるのはエアベッドだった。Air Bed & Breakfast、それが会社のネーミングになったというわけです。
2008年に会社設立、その後アメリカ大統領選挙、ワールドカップなど世界のビッグ・イベントの開催とともに成長を続け、2012 ロンドンオリンピックでは、1800人のホストが世界100カ国の1万人のゲストを受け入れました。サステナビリティがテーマのひとつだったロンドンオリンピックにおいて、余剰物件を提供したサステナブルなシェアリング・エコノミーの代表として注目されることになりました。現在『Airbnb』は、世界190カ国の3万4000都市に100万のリスティング、2500万人のゲストが登録されています。