from 北京 – 3 - ”偏愛”から”定番”に。北京のお気に入りレストラン、其の一。

(2008.10.28)

皆さんにも、それぞれに“定番”ってのがあると思うんですが、
私は特に、食べに行く店に“定番”が出来がちです。
昨年、中国に赴任して、最初に困ったことの一つが“食事”。
中華料理のお店は大皿だし、ヒトリでは入りにくい。かといって、
毎日毎日同僚に付き合ってもらう訳にもいかないし、お店のレパートリーだって今とは違う。

さらに、そもそも私には一度食べに行って気に入ったお店に、ついつい通いつめてしまう癖があります。
極端に言えば、同じ店に週に二度三度、飽きるまで通いつめてしまうのです。
そうして飽きそうになる頃、その“偏愛”が“定番”に変わる……というのが私のパターン。

北京の『鼎泰豊(ディンタイフォン)』。

赴任当初に“偏愛”し、今や“定番”になったお店、
そのひとつが『鼎泰豊(ディンタイフォン)』。
こちらは台北に本店を構える、小龍包が有名なレストラン。
日本にもお店があるので、ご存知の方も多いはず。
日本ではもうずいぶん前に、当時は高島屋に1号店が出来て、
食べに行ったのですが、
その時はあまり印象に残りませんでした。

ところがどっこい、北京の『鼎泰豊』は本当に旨い。
何で北京?って思うでしょうが、こりゃ私だけでなく多くの人がそう言うんだから間違いない。
比べた人に言わせれば、台北より、上海より、美味しいんだってサ。
北京は粉モノ(麺とか炭水化物系)が美味しい土地なので、だからじゃない?
という、曖昧な根拠で説明するのですが、これまたなかなか苦しい。
でも、旨いんだから仕方ない。

先日お店を訪れると、時期はまさに上海蟹のシーズン真っ最中。
姿蒸しもメニューにあり一匹130元(約1900円)程度と、とてもリーズナブル。
一瞬、食べちゃおっかな、と思いましたが、特別エビカニ好きってワケではない私には、
あの“剥く作業”は苦痛でしか無く、特に上海蟹はミソ以外キョーミが無い。
そんなワケで、実際に注文したのは、
蟹粉小龍包と(蟹ミソ入り小龍包)、蟹粉豆腐(蟹ミソと蟹肉、蟹の卵のあんかけ豆腐)。

蟹粉豆腐(蟹ミソと蟹肉、蟹の卵のあんかけ豆腐)。 蟹粉小龍包(蟹ミソ入り小龍包)。 〈鶏湯(ジータン)〉と呼ばれる鶏スープ。中には、胸、モモ、手羽の各部位の肉が入ってます。 ある日のひとり晩ごはん全メニュー。この日は豪華です!

これらは、上海蟹の時期だけの特別なメニューというワケではないのですが、
やはりオフシーズンとははっきり味が違います。
まず、ミソの味が濃い、というか甘みがものすごく強い。
卵が大きくてしっかりしてる。これに生姜を乗せたり、黒酢を掛けて食べるのが旨いんだな……
あー思い出したら食べたくなってきちゃった。

上海蟹のシーズンも半ばをこして、あともう少し。
姿蒸しも良いですが、こう行った蟹料理も良いものです。
特に今年は、蟹の産地である陽澄湖の夏の気温が低かったため、蟹の成長が遅く出荷が遅れました。
サイズも中身も小振りと聞いていますので、意気揚々と姿蒸しを注文して、
蓋ならぬ甲羅を開けてみたら……ガッカリ、なんてこともあるかも。
そういう意味でも、蟹料理、おススメです。
そんなワケで“定番”の話から「上海蟹」の話に大きく脱線した感もありますが、そこはご愛嬌。

私のレストランの「定番」に欠かせない条件は
リーズナブルである(値段の安さを指すのではなく、あくまでコストパフォーマンスが良い)こと。
メニューにハズレが無い(少ない)こと。
居心地(サービス含む)が良いこと。
これらを確実に押さえている、鼎泰豊。
日本で「行ったことある」という人を連れて行っても、確実に満足してもらえる、貴重なお店です。

ではでは、今回はこんなところで。再見!!