井端彩乃の異文化通信 – 2 - ハヌカとクリスマス、ニューヨークとワシントンDC篇。〜アメリカ〜

(2010.12.22)

もう今年もあとわずか。
この時期になるときれいなイルミネーションが至る所で光り輝き、街に幸せな空気が漂います。

今回はそんな私が1年で最も大好きなアメリカのホリデイシーズンについてお話しします。

さて、私がホリデイシーズンと言ったのには理由があります。
アメリカは言わずと知れた多民族国家。なので、キリスト教の祝日であるクリスマスを必ずしも全員が祝う訳ではないのです。
“Merry Christmas!”と言うことはどちらかというと少しタブーとなっていて、人々は”Happy Holidays!”(良い祝日を! )と言うことが多いのです。

私のホストファミリーは、ホストファザーがキリスト教、ホストマザーがユダヤ教だったので、キリスト教のクリスマスとユダヤ教のハヌカ両方を祝いました。

実際、宗教の違う2人が結婚して家庭を持つ事はごく普通で、それぞれの夫婦が話し合い、自分たちの子供をどちらの宗教に準じて育てるかという事を決めます。だから、ユダヤ教として育てるならばハヌカを。キリスト教として育てるならクリスマスを。

しかし、私のホストファミリーの様に夫婦お互いの宗教を尊重し、お互いの祝祭日を助け合いながら祝って行く。つまり、ハヌカとクリスマス両方を祝う家庭もあります。

日本は宗教に関してあまり重要視されない文化ですが、アメリカを始めとする欧米諸国では宗教を大切にする文化が沢山あるのです。
私が、日本人がクリスマスをキリスト教の様に祝い、その1週間後には神社へ行って神道としてお参りをするという話をすると、海外の友達からは「なんで?」という質問攻撃によく合います。

宗教に対する考えの違いは、とても大きな文化的違いなのです。

ハヌカは毎年時期が違うのですが、だいたい12月の初めから中旬の8日の間祝うユダヤ教のお祭りです。メノラキャンドルというユダヤの星の形をした置物に毎晩1本ずつろうそくを立てていき、子供達は8日間全ての夜に小さなプレゼントを1つずつ。計8個のプレゼントをもらいます。
プレゼントを与える習慣は伝統的なユダヤ教の儀式ではないらしいのですが、クリスマスプレゼントを羨むユダヤ教の子供達の為に、ハヌカプレゼントという習慣ができたそうです。

メノラキャンドル。ハヌカのテーマカラーは白と青です。

クリスマスは日本と同じですが、キリスト教徒にとっては聖なる日なので、恋人とではなく家族や親戚と過ごすのが一般的です。11月の第4木曜日のサンクスギビングデイが終わると、人々は一斉にクリスマスデコレーションを始め、街の中が一気に活気づきます。

さすが広大な土地を持つアメリカ。クリスマスツリーは人工のツリーではなく、実際にクリスマスツリー畑に本物のツリーを家族そろって採りに行きます。

クリスマスツリー農園。
ノコギリでギコギコ切り倒します。
このようなネットにツリーを通し運びます。
疲れたらエッグノグ(アメリカの冬定番の飲み物。日本のミルクセーキの様な物)とペパーミント味のアイスクリームを。
飾り付けは大変!
ツリーの下いっぱいに広がるプレゼント。

クリスマスツリーが飾られたら、12月25日までに少しずつクリスマスプレゼントがツリーの下に置かれて行きます。

そして、25日の朝、家族そろって暖炉に火をともし、ココアやアップルサイダーを飲みながらプレゼントを開くのです。
日本とはひと味違うクリスマス。アメリカ人は特に家族との時間というものを大切にするのだと感じました。

 
去年のクリスマスは観光客でごった返しのニューヨークで。
ニューヨークで過ごすクリスマスは2回目でしたが、何回訪れても心が揺すぶられる街。ニューヨーク。
綺麗なイルミネーションが光り輝き、街中は幸せオーラに包まれています。

雪の降り積もる街中で
ロックフェラーセンターを見つめる天使
Radio Cityの中のツリー型シャンデリア

どこもかしこも見渡す限りクリスマスデコレーションだらけ。最初に”Merry Christmas”というのがタブーと言いましたが、まだまだ全体としてはクリスマスデコレーションの方が、ハヌカ等の他の宗教のお祝いのデコレーションよりも多くあるのが現状です。

エンパイアステートビルから眺めたどこまでも続くニューヨークの光の海

ニューヨークのクリスマスで欠かせないのがロックフェラーセンター前の大きなクリスマスツリー。

ツリーの下にはスケートリンクが広がります

この時期になると、アメリカでは至る所でサンタの帽子をかぶっている人を見かけます。
それも、小さい子供だけでなく老若男女、色んな世代の人がサンタの帽子をかぶっているのです。中には会社の中でサンタの帽子をかぶっている人もいるとかいないとか。
生活の中にユーモアがある、アメリカのとても良い所だと思います。
日本で、もしサンタの帽子をかぶった人が電車に乗っていたら、、、ましてサンタの帽子をかぶって出勤したら、、、どうなるでしょう?

ニューヨークにクリスマスの時期に行く機会があるのならば、Radio City Music HallのRadio City Christmas Spectacularという、歴史あるショーを見る事もおすすめします。このショーはニューヨークの冬の風物詩であり、とても人気なショーです。くるみ割り人形のようなストーリーのショーで、どこかしらで聞いた事のあるクリスマスソング盛りだくさんの、英語がわからない人でも十分に楽しめるショーです。
なかでも1番有名なのはRockettes(ロケッツ)という、女性のダンサー達。女性ダンサーだったら誰もが憧れる存在です。彼女達のダンスを見て損はありません。
スケートリンクが出て来たり、様々なことが起こったりと、終始わくわくする、そして心躍る。そんなニューヨーク伝統のクリスマスショーです。
 

Radio Cityは有名なので写真で見た事がある人も多いのでは。
迫力満点。大満足のショー。

このショーは毎年11月初旬から12月末まで上演されています。今年はもう残りわずかの期間ですが、もしニューヨークに立ち寄る方はチェックしてみてください。

下記のURLに行くと、華々しいショーのコマーシャルビデオを見る事が出来ます。
http://www.radiocitychristmas.com/newyork/

ニューヨークに行けない人も、是非このコマーシャルでショーを見て、少しだけニューヨークでのクリスマス気分に浸ってみてはいかがでしょうか?

さて、私が留学をしていたワシントンDCでは毎年ホワイトハウス前に大きなクリスマスツリーが飾られます。

ツリーとDCのシンボル、ワシントンモニュメント
仲良しの子達とツリーの前で
一カ所きれいに電気が切れたツリー

実は、去年は2回ワシントンDCのクリスマスツリーを見に行ったのですが、なんと、2回目に行った時、ツリーの一部のイルミネーションが電池切れで消えてしまっていたのです。
ナショナルクリスマスツリーとも呼ばれる、アメリカを代表するクリスマスツリーが電気切れ。
私はこれを見て一言、

「なんかこのツリー、アメリカの経済危機を象徴しちゃってるねー」

一緒にいたアメリカ人の友達に怒られたのは言うまでもありませんが。

 
今年のツリーは電気切れしない事を祈ります