from ニューヨーク – 7 - インターン1.日本の最先端技術とデザインを発信するブランド。

(2010.02.26)

NYに行ったらファッション関係の会社でインターンがしたい!というのがニューヨーク滞在の一番の目標でした。アパートを探した Craigslist で求人情報もチェックして応募するものの、出発前はおろか到着後もしばらく何の進展もありませんでした。どの仕事においても必ず提示されている条件「優れたコミュニケーション能力」が、英語力の不十分な私にとっては最初のハードルで、さらにファッション関連ではセールスアシスタントでも雑用係でもデザインの基礎知識が求められることが多く、かなり厳しい状況でした。

そんな折、こちらに来て知り合った友人が勤めている日系企業で募集があるとのことで、やっと面接が1つ決まりました。アメリカをはじめ海外のアクセサリーを日本に輸入している会社で、私の今後の方向性にもピッタリな職場です。でも残念ながら滞在期間が短かすぎることと、ファッションとは何の関係もない学歴・職歴しかない私を将来的にビザサポートするのは難しいとの理由で採用されませんでした。面接できただけでも進展でしたが、厳しい現実をさらに実感しました。

その後、日本にいる友達と年始のやり取りをすると、こちらに知り合いがいるので紹介してくれるとのこと。そして知り合った方が、なんと懇意の会社でのインターンを紹介してくださったのです! それが私のニューヨークでの最初の職場SANYO SHOKAI NEW YORK, INC.、バーニーズ、サックス、メイシーズ、ブルーミングデールズといった一流デパートのほとんどで売られている最先端素材と技術を使ったメンズのアウター、レインコート、スポーツウェアのブランドです。日本のアパレル最大手(株)三陽商会の関連会社で、日本企業のNYオフィスは駐在員事務所として営業活動はしていないところが多い中、日本でデザインしたオリジナルブランドをアメリカとカナダ販売している稀有な会社です。ファッションには全く興味がないと思っていたはずの父に報告すると「あのバーバリーを扱っている会社だろう!」と喜んでくれたのがとても嬉しかったです。そういえば父が使っていたマフラーはバーバリーでした。

私がやらせていただいている仕事は、主に在庫や注文書の管理のお手伝いとお使い。映画の仕事もそうでしたが、一見華やかに見える業界も地道な作業の積み重ねでビジネスが成り立っているのはどんな仕事も同じですね。データを打ち込んでいるだけのように見える作業も日本から上がったデザインを生産する工場や倉庫、お店や人につながっていて、大きなチームで業務が動いているのを感じます。細かい数字の動きから販売の伸びを知って盛り上がったり、コレクションの見せ方などについて議論しているスタッフの皆さんの会話を聞いていると、ブランドを大切に思い、ビジネスを楽しむ姿勢が伝わってきます。

右から紳士な社長の東條さん、物流&ITのSakuraさん、営業のパトリス(Patrice)さん、経理のヘレン(Helen)さん、生産&マーケティングのSadakoさん。インターンも含めて総勢9名の少数精鋭で運営されています。
営業部長のクリス(Chris)さん。普段の面白いトークからも、やり手のセールスぶりが伺われます。
いつもおしゃれなRiekoさん。流暢な英語でHelenさんと協力して仕事を進めています。
日本語も話せるシャネイ(Sheenae)さん。一緒に働く曜日が少ないので、これから仲良くなりたいです!
インターンの先輩デイビッド(David)さん。営業ミーティングに参加する日はスーツでキメています。サックスのオフィスに一緒にサンプルを取りに行った時は「映画みたいだね~」とはしゃぎました。
サックスのコート売り場で。カルバン・クライン、ラルフ・ローレン、DKNYなどと肩を並べて売られる一流ブランド。撥水性や取り外し可能な裏地など機能性を備えたシャープなデザインで、ストライプや赤が効いた裏地が個人的にも気に入っています。

ミーハーに感激してしまったのはオフィス所在地。アパレル企業のオフィスが多いガーメント・ディストリクト、通称ファッション・アベニューと呼ばれる地区(34丁目から42丁目の7番街周辺)にあるのです! 映画『プラダを着た悪魔』のアン・ハサウェイが携帯電話片手に走り回っていたあの地区ですね。朝はどんなに寒くても、7番街の超・マンハッタンな街並みを“出勤する”ために歩いているのかと思うと、私もいっぱしのニューヨーカー風だな♪と気分上々です。

そして日々ありがたく思っているのはスタッフの皆さんが真面目で気さくで温かい方だということです。『プラダ~』のミランダのような鬼上司も、陰口をたたき合うような雰囲気も全くありません。朝晩の挨拶や頼んだ作業のお礼は欠かさず言い合い、時々ちょっとした気分転換の会話を楽しみながら、着々と各自の仕事をこなすいい空気が流れています。慣れない仕事に苦戦する私にも辛抱強くいつも笑顔で対応してくださり、このオフィスで少しでも多くを学べればと考えてくださっているのを節々で感じる非常に恵まれた職場です。「日本のデザインを世界に届ける」という私の将来的な目標を体現しているSANYO SHOKAI NEW YORK, INC.。残り僅かな勤務日を大事にしたいと思います。

7番街にあるFashion Walk of Fame。
ファッション・アベニューならではのモニュメント。
こんな重厚なビルで働けるなんて! テナント企業もほとんどファッション関係のようです。1F のスターバックスでパターンを広げてミーティングしている様子も見かけます。
明るくおしゃれなショールーム。これらサンプルの在庫管理が私の仕事の1つです。(黒いシミは私のカメラの汚れです。ショールームはクリーンですよ!)
営業&物流が同じ部屋で、それ以外の皆さんは隣りの部屋。インターンは受付に座っています。
タイフードでランチタイム。Patriceさんはエクセルの達人。一緒にマノロ・ブラニクのセールで一喜一憂しました! 面接をしてくれたSadakoさん。やわらかな関西弁の中に仕事に対するピリッとした姿勢が感じられます。いるだけでその場を和ませてくれる癒し系のHelenさん。東條さんからの「Helenちゃ~ん」という呼びかけが私の頭上を飛び交っています。Sakuraさんは細か~い在庫の管理もIT関連もサクサクこなされて尊敬の一言。いつも仕事を教えていただいている皆さんです。