from ニューヨーク – 6 - 英語学校 1.ニューヨークから羽ばたく日本映画。

(2010.02.19)
定期的に異なる新進アーティストの作品が展示される談話室。黒いキャップは日本人の先生です。

英語学校には英語専門の学校、大学付属の学校など様々ありますが、私が見学した学校と実際に通っている学校を2つ、2回にわたってご紹介します。どちらも外国からの移住者や難民、学生を主な対象としているので学生ビザのサポートは行っていませんが、プラスアルファの勉強、体験としてとてもいい学校だと思います。

まずはインターナショナルセンターNew York。ほぼボランティア・スタッフで運営されているNPO団体の学校で先生もボランティア。そのため授業料が破格です($350/3ヵ月~)。授業は月曜から土曜の朝11時から夜8時ころまで組まれていて、予約なしで好きな授業の教室に行くだけ。授業は目安として初級から上級まで4レベルに分類されていますが、どのレベルにも参加できます。授業内容は通常の語彙・文法・会話のほか、就職活動の履歴書や面接のアドバイス、コンピビュータースキルのワークショップで仕事探しをサポートしたり、移民弁護士に個人面談できるなど、語学に限らず移民の生活を全体的に支援しています。授業数は制限されていないので朝から夜まですべての授業を受けることもできますし、授業に出ずラウンジでおしゃべりをしに行くだけでもOK。アットホームな大学のような雰囲気で、集中的に英語を練習したい人、たくさんの友達を作りたい人に向いていると思いました。美術館やレストランに行くなどフィールド・トリップも充実しています。まずは無料のオリエンテーションに申し込んでみてください。
 

入口ロビー。この奥がパソコンルームです。
“ラウンジ”と呼ばれる休憩室。ランチやコーヒーブレイクができ、学校用に特別に提供された舞台や美術館の特別割引チケットのブースもあります。

上記写真でグレーのキャップをかぶった彼は日大芸術学部を卒業し、スピルバーグ監督の子息も通った有名映画学校ニューヨークフィルムアカデミー に入る準備として英語学校に来ていました。映画学校に行ったからといってプロの映画監督になれるとは限らないけれど、今やりたいことを精一杯やるだけだと言っていた彼。ニューヨークフィルムアカデミーといえば、私がニューヨークに行くべきか模索していた時期に観て、心に沁みた映画の監督も学んだ学校でした。

ひとつはアメリカの数々のインディペンデント映画祭で評価され、オースティン映画祭2008ではグランプリを受賞した三宅伸行監督の『Lost & Found』。落し物をきっかけに赤の他人だった人の人生に触れて新たな一歩を踏み出す人々が、しんしんと降る雪とともに包み込むように描かれています。何かを失くして運が良ければ失ったものを取り戻せることもあるし、違うものを見つけることもあります。自分自身を見失うことも時にはあります。私もまさにそれを繰り返すような日々ですが、どんな状況にあってもそれを淡々と優しく受け止めてくれるような作品でした。この作品が2/27~六本木で“世界が愛した才能 北米編”として上映されます。作品・劇場詳細はこちらをご覧ください。

余談ですが、私がニューヨークで出会った人は本作のグランプリ受賞地テキサスのオースティン出身が多く、日本で言う県人会のようにつながりも強いようです。彼らによると「ニューヨークとサンフランシスコの間で行くべき文化都市はオースティンだけ」とのこと。もちろん故郷への愛着が多分に入っていることと思いますが、アメリカ横断をお考えの方は検討してみてはいかがでしょうか?

もうひとつは待場勝利監督の『YOKOHAMA 34 ~オールドボーイたちの歌声』。日本各地のインディペンデント映画祭で受賞していて、2月14日に行われた「横浜映像天国」という映画祭ではグランプリを受賞されました!50年の歳月を経て再結成された男声合唱団「ヨコハマ サーティーフォー」のドキュメンタリーです。特別なことを成した人だけでなく、誰もが映画作品となり得る人生を生きているという考えでドキュメンタリーを撮り続けている監督で、本作では合唱を中心に回るオールドボーイたちの毎日を楽しくテンポよく描いています。社会とのつながりの中で自分の存在を確認したり、周りの人に支えられてこそ乗り越えられることがあることを、改めて思わせてくれた作品です。海外映画祭への出品も検討されているとか。作品詳細はこちらでどうぞ。

映画業界を一度離れることを決めた私ですが、このような映画をたくさんの人に紹介したくて映画の仕事を選んだんだなと、しみじみ思った2作品です。お近くの方はぜひご覧になってみてください。

YOKOHAMA 34の皆さんと待場監督。