from 会津 – 3 - 野良着発、モード行き? あたらしい会津木綿のカタチ。

(2010.09.08)
民芸調路線の見本帳。

会津地方には、400年の歴史をもつ織物があります。それが、会津木綿。

昔は、日常着やモンペ、サルッパカマといった野良着、夜具などに用いられ、会津の人々の暮らしを支えてきました。藍やクルミなどの草木で染め上げられ、地元で栽培された綿からなる太い番手の糸で織られた生地は、丈夫で、通気性、吸水性、保温性にすぐれ、冬は雪深く、夏は暑い会津盆地の気候風土に適ったものでした。

柄は縦縞、格子柄、無地のみ。色は藍を基調とした地味な生地です。
 

積み上げられた会津木綿の反物。鮮やかな色調のものは、野良着需要が減ったことで土産物を意識するようになってら、出回り始めた。
工場で使われているのは、昭和30年代から動き続けている豊田自動織機。まだまだ現役。
藍で染め上げられた半纏。色褪せ方すら美しい。
青縞とよばれる昔からの縞柄。

時代とともに野良着需要がなくなってきて、最近では中年女性をターゲットにしたお土産物のイメージが定着した会津木綿。ハッキリ言って、地元ではイケテナイ印象が強い織物であります。(事実、私も地元に住んでいた頃は、イケテナイ!と思っていました。)

が、しかし。会津を離れて十数年。改めて見てみたら、なかなかどうして。これがイケテルんです!

地味も言い換えればシック。丈夫で、手ごろな価格で、シック&シンプル。これはすごい!!と、一瞬にして、私は心を奪われてしまったのでした。

それとともに、これじゃいかん!とも、思いました。

人々の暮らしとともにあった会津木綿が普段の生活から遠いところへと離れていってしまっているこの現実。どーにかしなくては。もともと、会津の暮らしの中にあった生地で、着物や野良着の需要がなくなったというのなら、現代の生活に合わせて形を変えさえすれば、また暮らしの中で息を吹き返すのではないか、と。

こんなにポテンシャルが高い織物を放っておくわけにはいかない!

会津木綿の虜になった私は、その日から独自に調査を開始しました。

すると、いたんです。会津木綿を使って素敵な作品を作られている方々が!!

一人目は、喜多方市在住の小林美子さん。誰が着ても様になる、しかも、着ていて楽チンという、魔法のような洋服をつくりだすデザイナー。反物の36センチという短い幅をうまく生かしたデザインが魅力です。

 

渋い赤は年齢を問わず、華やぎをもたらす。
カーディガンのように羽織るのもよし!のシャツ。
古典的な野良着の縞柄とは思えない大変身。

続いて、会津若松市在住のバッグ作家、上妻順子さん。ヨウジ・ヤマモトのパリコレ作品の縫製担当者だった方です。

その確かな技術力でつぎつぎと独創的な作品を発表し続けています。上妻さんのバッグはモダンで、配色も素敵。惚れちゃいます!
 

仕事場で過ごす時間が楽しくてならないという上妻さん。
総タックの力作!チラリと覗く、裏地がポイント。
紺と黒の落ち着いた配色と、シンプルなフォルムが粋。
和服にも洋服にも合う巾着ポーチ。ステッチがアクセント。作品写真提供/スペースアルテマイスター

いずれも、美しく、完成度も高い。そして、カッコイイ。でも、お二人の作品は今の私には背伸びしなくては手の届かないもの。「ハレ」の日のもの。

「もっと、カジュアルだったらいいのになー。そしたら、日常的に使えるのに」。そんな風に思っていたとき、ひとつの奇跡的な出会いがありました。『yamma』 というブランドと会津木綿のコラボ商品を作ることになったのです。

orahoとyammaの運命的なはじまりとその先の話については、また次回。どうぞお楽しみに!!