from 香川 – 17 - 香川県で生まれた“宝赤の果実さぬき姫”。

(2011.03.28)

高松市に隣接する香川県木田郡三木町上高岡のイチゴハウスの中で今、「宝石のようなまばゆいほどの輝きをした果実」がたくさん栽培されています。見ているだけで、春の訪れを感じさせてくれるのが、地元で開発された品種・さぬき姫です。

今回は、皆さんに「笑顔になるHAPPYの種」をお届けしたいと思います。

完熟したさぬき姫に囲まれた本田さん夫婦

今回伺ったのは高松市内から車で20分くらい走ったところにある、本田龍さんと巳智さん夫婦が経営する『観光農園・森のいちご』です。緑に囲まれ、ゆったりした自然の中にイチゴハウスが建ち並び、ミニ牧場や天然酵母と原材料にこだわった森の石釜パン屋さん、ゆったりくつろげる休憩所があり、休憩所では、ハウス内で採れた新鮮なイチゴを使ったスイーツも楽しむことができます。

ハウスの中に入ると、小さくて愛らしい白い花と、大小の真っ赤な実を付けたイチゴが緑の棚の中できれいに並んでいます。ほのかにイチゴの甘~い香りが漂い、思わず顔がほころびます。眺めているだけで、「あ~幸せ」という気持ちになります。数多いイチゴの種類の中でも、香川県産の“さぬき姫”は、粒が大きくてとても甘く、酸味が少ないのが特徴です。表面がキラキラと輝き、真っ赤に色づいた実は、まるで宝石の《ルビー》ようです。私の個人的な主観で『宝赤の実 さぬき姫』と名付けてみました。

ハウス内はイチゴの種類も豊富で、女峰、さぬき姫、さちのか、章姫、とよのか、やよいひめなど19種類を栽培しており、「イチゴの博物館」に来たような幸せに包まれます。
 

マルハナバチ達も頑張って受粉を行っています。

 

香川県産ブランド“さぬき姫”とは?

香川県のイチゴ栽培面積は約84㌶で、養液栽培は55.4㌶と導入率が高く、新規生産者の参入も多いそうです。出荷品目を高い順に言うと、女峰、さちのかと続き、3番目が「さぬき姫」です。女峰は、日本一の出荷・生産高を誇っています。

「さぬき姫」は、「さちのか」と「とちおとめ」を交配し、さらに花芽の分化が早い「さがほのか」を交配して生まれた香川産の新品種です。
2000年(平成12年)、香川県農業試験場が、優れた食味・大きい果実・高設式養液栽培に適応をテーマに、次世代のいちご品種として育成しました。

美味しいイチゴの見分け方を本田さんお聞きしました。さぬき姫の場合、イチゴの輝き、完熟しても真っ赤に色づかないという特徴があります。「シュガースポット」といわれる「ひび割れ」が房の下部に入ると、淡いピンク色のさぬき姫がおいしく食べられます。

本田さんに話をお伺いしている途中ですが、ハウス内の甘いピンク色の世界の中で、大粒のおいしそうなイチゴを目の前にして、食べずにはいられなくなり、イチゴ狩り体験をさせていただきました。摘み取り方は、イチゴの茎を持ち、実のなっている先端を真上にあげて茎を回転させて摘み取ります。これで待望のイチゴが口の中へ入りました。もう口の中は、春を奏でるハーモニーでいっぱいに広がります。思わず笑顔にならざるを得ません。ものすごく甘くて、イチゴの味という枠を超越した、何か他の果実を食べているような甘さです。ミルキーな味わい、ジュワッとした軽い食感です。「少しでも多くの人達に味わってほしい」。そう思いました。

イチゴ狩りの人たちが残したヘタは、ミニ牧場内にいるヤギや牛、ポニーなどの餌として活用されます。親子で触れ合うこともできる楽しい空間です。「すべてがイチゴでつながっているのですね~」。

毎年12月から7月上旬頃まで開園しており、新鮮な実をその場で思う存分楽しめます。土日になると、甘いイチゴの香りにひかれて集まってくるハチやチョウのように、ハウス内はイチゴ狩りで楽しむ人々で賑わいます。
イチゴ狩りにきたお客さんは、イチゴを眺めながら「ここに来るだけで癒されます……」と幸せそうな笑顔を見せながら、大切に育てられたイチゴを採って口に運びます。

 

「農業」への思いから生まれた「森のいちご」!
“さぬき姫”との出会いが観光農園の扉開く

完熟のさぬき姫です

本田さん夫婦が、繊細で、手作業の多いイチゴ栽培に専念するようになったきっかけは、完熟の“さぬき姫”との出会いでした。約18年前、現在はイチゴハウスが建っている土地は、かつてタバコ畑でしたが、

その後、耕作されず荒れ地になっていました。
本田さんは、大阪でのサラリーマンを辞めて農業の道へ転身しました。大阪でナスやキュウリ栽培の研修中、三木町にある広野牧場に来た際、近隣のイチゴ農家が自家用に栽培していた“さぬき姫”を食べ、イチゴの甘さに感動! “さぬき姫”の味にほれ込み、「このイチゴに生涯かけよう」と思ったのがイチゴ栽培を始めるきっかけでした。たった1つのイチゴとの出会いが、本田さんの人生を左右するなんて、想像もしていなかったでしょう。

約5年前、イチゴハウス作りがスタート。三木町内の農家の知恵を借り、その指導を受けながら、2年がかりでハウスを完成させました。大切な“宝赤”のイチゴを栽培するベッドも作りました。観光農園「森のイチゴ」は今年、3年目を迎えます。土地を提供してくれた町内の農家が、ビニールハウスの建築やイチゴの栽培方法をアドバイスしてくれるなど、あらゆる面での支援を惜しまない地元の人たちや役場の方の後押しを受けながら、本田さんも試行錯誤を繰り返し、栽培技術を磨いてきました。多くの人たちに囲まれ、自らの技術と農業の可能性を信じてきたからこそ、今日の「森のいちご」があると感じました。

 

本田さん夫婦のイチゴ栽培への思い

本田さんご夫婦に、繊細で非常に手間隙のかかるイチゴ栽培について、改めて今後の展望を伺いました。
本田さんは「〈大変な農業〉というイメージではなく、イチゴを通して、コミュニケーションを図ることで、子どもも一緒に楽しめるような農業の楽しさを伝えていきたい。農家の魅力を多くの人たちに伝えることで、子どもたちの感受性や想像力を育んでいける場所にしたいのが今後の目標」と話してくれました。

「みんなで農業に触れる場ができないか、毎日試行錯誤しています。自分たちが育てたイチゴを食べてくれた人々の笑顔を見ることが1番の幸せ」だそうです。

イチゴだけど、イチゴじゃない、特別な果実が“さぬき姫”。本田さん夫婦は、さぬき姫への愛情と思いを込めて、愛称を「あいのみ」と付けました。たっぷりの愛で育った“宝赤”の果実「あいのみ」を味わいに、『』観光農園・森のいちご』へ行ってみませんか。

 

観光農園・森のいちご

住所:〒761-0613 香川県木田郡三木町上高岡1611
TEL:087-890-3035
毎年12月から7月上旬まで、イチゴ狩り体験が楽しめます。(イチゴがなくなり次第終了)
他各種イベントも豊富に行っています。詳しくは、ホームページをご覧ください。