from 東北 – 9 - 花火、最高峰、omagari、芸術の競演。

(2009.07.22)

東北の三大祭りが幕を降ろすと
みちのくの夏を締めくくるイベントが待っている。
そう、秋田県・大曲市の花火大会だ。
今年で83回を迎える、歴史ある風物詩には
毎年、多くの花火ファンが訪れる。
それもそのはず。
全国の花火師たちが目標としている、日本一格の高い大会と呼ばれているからだ。
大曲の花火大会では、花火師本人が打ち上げまでを行うことになっており
総合的に最高水準の花火の競演が楽しめる。

漆黒の夜空を背景に描き出される、芸術の華。
スターマインをはじめ、菊、冠菊、千輪など鮮やかで迫力ある花火が舞う。
打ちあがっては散り、打ちあがっては散る。
パッと染まる美しさと、すぐに消えていく儚さ。
花火は決してモノとして残らない。観客の脳裏や心の中に思い出として残るのみ。
その一瞬のために情熱を注ぐ、花火師たち。

妥協せず、人を喜ばせる、満足を追求する気質。
損得抜きの思い入れは、まさに職人気質といえる。
その気質に憧れてか、花火師を志す若者が増えているという。
ビジネスでは得られない感動があるのではないだろうか。
利潤追求では得られない、サービスの本質がここにはある。
「売上だ、マーケット拡大だ」と心のない言葉に身を委ねる人間には
客の満足度を上げることは難しいことと思う。
花火師職人が心行くまで、創作に没頭できる環境を残しておきたい。
ビジネスではなく文化としての評価を、一人一人持つことが大切である。
そういう意味では、私は花火よりも花火師贔屓なのかもしれない。

第74回から内閣総理大臣賞も設けられた、花火芸術の祭典は
年々、個性豊かな創造花火が披露される。
今年はどんな職人芸を見せてくれるのか。
花火師との阿吽の呼吸とともに楽しみたい。

 

大曲の花火2009

日時:2009年8月22日(土)
1、昼花火の部/17時~
2、夜花火の部/18時50分~
※雨天開催
会場:雄物川河畔 大曲橋下流
交通:JR大曲駅より徒歩25分
問い合わせ:大曲市役所 Tel.0187-62-1262