from モスクワ – 1 - 赴任翌日、時差ぼけのままトルストイに出会う。

(2010.07.15)

トルストイって知ってますか?

レフ・ニコラエヴィチ・トルストイ(Лев Николаевич Толстой)はロシアを代表する作家であり、日本でも有名な作家。代表作といえば「戦争と平和」などなど。私も高校の時に読んだ気がするが、全く内容忘れてしまった。

「せっかくロシアに来たから、トルストイの生地へ行かないと!」と、ある方の発案のもと、トルストイの生まれ育った地を訪れることに。私はというと、前日にモスクワに到着(赴任)したばかりで、アパートの鍵を手に入れた翌日である。もちろん荷物が片付いている訳もなく……。しかし、こういう誘いがない限り自分一人で行くこともないだろうから、家のことは置いといて出発することに決めた。

快晴!!

某旅行本には急行列車が土日にあると書いてあるが、事前の問い合わせによると我々が行こうとしている日には走っていないらしい。(もう今後ないのか、一時的に中止しているのかはわからなかった。まぁロシアなので……)

ということで自動車で行くことに。出発は朝の8:15。時差ボケがプラスに働いたおかげで(今は日本時間からマイナス5時間)、4:30には起床。とはいえ、実は日本時間で言うと9:30なので随分だらだらと起きた感じもある。得した感じだけど、睡眠時間自体は少ないんだなぁ。

目的地であるトルストイの生家は「ヤースナヤ・ポリャーナ(Ясная Поляна)」というところにある。モスクワ市から南に約190km、車で3時間の旅。(電車でも3時間ぐらいらしい)

日本でいうと都心から静岡あたりまで行く感じだな。途中まではモスクワ市だが、途中からはトゥーラ州(Тула)に入る。これが何を意味するかというと、車の乗り心地に変化があるということである。

トゥーラ州に入ると車が上下に揺れだし、スピードが出せなくなってジェットコースター状態に(地面がでこぼこ状態なのです)。これはたまらんと思いつつも、ロシアらしい道の事情に感慨深くもなる。

やがて幹線道路から逸れて田舎道へ。車の運転手も場所がわからないらしく、何度か通りすがりの人に道を聞きながらいよいよ到着である。運転手さんお疲れ様でした。(いつも思うが、モスクワでカーナビがついている車を見たことがない。頭の中に地図が入っているのかな?)

トルストイの生家の入り口。右の門が傾いている気がするが気にしてはいけないのだ。

さて、到着するとそこは農園である。トルストイは基本的に富豪だったらしく、この地で生まれ、19歳から地主となり、農園経営をやっていた。

さっそく入ると左手にチケット売り場(Касса)がある。基本的には元あったおうちをそのまま使っているので、売り場の窓口は普通の家の窓を使用。したがって少し高めの所に窓口がある。まぁロシア人はこういうことは気にしない。

入場料は20ルーブル(約70円)で案内人付きが150ルーブル(約430円)。入場料異様に安くないか……? 近くのトイレが10ルーブルなのでわずかトイレ2回分の料金。(ちなみに入場後の中のトイレは無料)

受付は窓の一部。小さい窓からチケットをお願いする。ユーザビリティは二の次なのである。

後になって判明したのだが、20ルーブルだと敷地内に入場はできるだけ。建物の中に入るには案内人がいないと入れない。もちろんロシア人の受付は、そんなこと親切に教えてくれるような受付ではないのだった。

案内人は20~30分間隔ぐらいで集まった人をまとめて案内してくれる。チケット買ったときに時間を記した整理券をもらえるのでロシア語分からなくても大丈夫。しかし、案内は完全ロシア語である。まったく言っていることがわからないが、建物の中に入るためなので我慢して聞くことに。うぅ~~ん、ロシア語勉強しないとね。

案内が始まるまでこんな感じで休憩。後ろに見える池の名前はБольшой Пруд(=Big Pond=大きい池……名前そのまま!)
中に入るとトルストイが日々歩いた(と思われる)白樺並木。美しい!

分からないロシア語を分かったふりして頷きながら進んでいくと、いよいよトルストイの生家が見えてくる。
 

トルストイの生家。昔のままの姿で保存されており、現在は博物館。
生家の周りの欄干。かわいい!これもトルストイの趣味かな??

さて、いよいよ中に入るのだが、その前にそばの籠の中のスリッパのようなものを指さされる。つまり「スリッパをはいてね」ということらしい。にしてもちょっと大きめなスリッパ。周りのロシア人を見ると靴のまま履いている!つまり、靴のスリッパだったみたい。

紐で締めるようになってるけど、歩くと脱げそうで少し歩きにくい。まぁ、ロシアではあまり深く考えないほうが良いですね。(建物の中は撮影禁止のため写真は撮れず。残念!)

建物の中に入るためのスリッパ。

家の中のほぼすべての部屋を見ることができ、大満足。絵がたくさん飾ってあり「あ、この絵はここで書かれた絵だ!」などロシア語の説明がわからなくても十分楽しめる。本も多くあり、あちこちに本棚が。執筆をしていた書斎もあり見ていて感慨深くなる。

本当はこの後も案内人のツアーは続くのだが、半分ぐらいのロシア人は「目的達成なり」という感じで戦線離脱していく。(残りもう一つの家を案内してくれたが、省略)

案内人ツアーが終われば、後の目的地はトルストイのお墓!このお墓は生家から少し離れた場所にあった。森の中、盛り土をしてあるだけのお墓。墓標もないお墓。十字架もないお墓。そういうお墓だ。
晩年、トルストイはロシア正教会から破門されていたこともあり十字架はないのだろう。トルストイの人生を知ってからこの地を訪れると何とも言えない気持ちになる。

森の中、ここだけ光が差し込み、自然が偉人を称えているよう。

日曜日の夕方は都心に向かう道は混み合うので、このあたりで観光終了。
またジェットコースターのような道を市内に向かって帰りました。少しでもトルストイに触れることができて有意義でした。
ロシア万歳!

帰りのガソリンスタンド。一番下の数字が単価。2.28RUB/L(約6.5円/L)??おそらく小数点の位置が間違っていて22.80RUB/L(約65円/L)。やはり石油の国、ガソリンは安い!