from ロンドン - 2 - 斎藤理子のロンドンオリンピック便りロンドンでは、名所旧跡も会場に。
観戦と観光が同時に楽しめます。

(2012.02.03)

2012年7月27日から始まる、ロンドンオリンピック&パラリンピックに向け、着々と準備が進んでいるイギリス。1908年の第4回、1948年の第14回に続き3度目の開催となるロンドンですが、同じ都市での3回開催は世界初とあって、成功に向けての意気込みはかなりのもの。「持続可能性」をテーマに、様々なアプローチで後世に負担をかけないエコなオリンピックの実現に取り組んでいます。夏に向けて徐々に盛り上がりを見せるロンドンとイギリス各地の様子を、お伝えしていきます。

女王陛下の騎馬隊本部広場に、
砂を運び込んでビーチバレー。

前回は、ロンドンオリンピック&パラリンピックのメイン会場になる、オリンピックパークをご紹介しました。今回は、ロンドン市内の会場を中心にお話していきたいと思います。オリンピック会期中は、オリンピックパークのほかにも、市内外のいろいろな場所で競技が行われます。エコなオリンピックがテーマのひとつだけあり、新設のオリンピックパーク以外はすべて既存の施設を使用。その中には、「えっ、こんな場所でこんな競技が?」と驚くような会場もあります。

その代表が、ビーチバレーが行われる「ロイヤル・ホースガーズ・パレード」。王室騎兵隊の司令本部である「ロイヤル・ホースガーズ」は、1753年に完成したパラディオ様式の白亜の宮殿。ホワイト・ホールという通りに面したゲートでは、独特の制服に身を包んだ兵士が騎乗して警備にあたっている姿が間近に見られ、観光客には絶好の撮影ポイントです。その建物裏の広場が、「ロイヤル・ホースガーズ・パレード」。ここでは、騎兵が昔ながらの作法にのっとって交代する交代式が1時間ごとにみられ、こちらも普段人気の観光スポットになっています。

バッキンガム宮殿からも近く、首相官邸の「10ダウニング」に隣接しているという、東京なら霞ヶ関のど真ん中といったロケーション。

そんな場所に砂を運び込み、ビーチバレーの会場にしてしまうなんて、日本ではちょっと考えられません。セキュリティ責任者はさぞや胃が痛いのでは、といらない想像までしてしまいます。でも、18世紀の建築物の向こうに、ミレニアムの時に作られた大観覧車ロンドン・アイの近未来的な姿がそびえる風景はロンドンならでは。ぜひとも押さえておきたいポイントです。

大会の華マラソンは、
女王陛下の足元からスタートします。

トラファルガー・スクエアからバッキンガム宮殿を一直線に結ぶ道を「ザ・マル」といいます。儀式用に作られたこの道は、華やかなロイヤルファミリーのパレードでも有名。ウィリアム王子とキャサリン妃のロイヤルウエディングの際に、ふたりが乗った馬車がここをパレードしたことは、記憶に新しいと思います。バッキンガム宮殿の前には、威風堂々たるヴィクトリア女王の彫像があり、「ザ・マル」を行き交う車や人を睥睨しています。

オリンピック&パラリンピックでは、ここがマラソンと自転車ロードレースのスタートとゴールになります。オリンピックスタジアムがゴールじゃないのは、オリンピックとしてはめずらしいですね。ここをスタートしたランナーたちは、市中心部を走るコースを3周してまたここに戻ってきます。コースには「ビッグ・ベン」「セント・ポール大聖堂」「ロンドン塔」「タワー・ブリッジ」など、これぞロンドン的な観光名所がしっかりと押さえられています。マラソンのテレビ中継は、同時にロンドンの観光案内になるわけです。

実はロンドン東部の人たちはこのコース決定には、かなりご不満。市中心部を3周などせず、タワー・ブリッジからそのまま東に走り、オリンピックスタジアムでゴールというコース案があり、その実現に期待を寄せていたからです。しかし、幹線道路や主要な橋を封鎖する必要があったり、警備費用がはねあがったりといったさまざまな事情で実現は不可能に。市内3周コースに決定したというわけです。同じコースを3回走れば警備の人員は1/3ですむわけだし、経費的にもセキュリティ的にもその方がいいのでしょうけれど、東ロンドンの人たちにとっては、イマイチ納得できないマラソンコースなのでした。

市民のオアシス、ハイド・パークでは
トライアスロンの熱戦が。

ハイド・パークは、ロンドン中心部に位置する市内最大の王立公園。隣接するケンジントン・ガーデンズと合わせると2.5平方キロメートルにもなる広大な公園です。歴史は古く、1637年から一般も利用できる公園として解放されています。うっそうと茂る木々と芝生の深い緑、サーペンタイン湖の水辺、リスや野鳥が遊ぶ姿など、1歩足を踏み入れれば、ここが大都会の真ん中だということを忘れてしまいます。野外コンサートやイベントも頻繁に開催されるハイド・パークは、まさにロンドン市民の癒しの空間。

そのハイド・パークで行われるのがトライアスロンです。水泳はサーペンタイン湖を1周、自転車は公園からバッキンガム宮殿前を通過して戻って来るコースを7周、マラソンは湖周囲を4周するコースだそうです。

ここで、疑問が。人工湖のサーペンタイン湖は湖というよりは巨大な池。そこには白鳥から雀まで、何十種類もの鳥類がたくさん生息しています。その鳥たちは、会期中どこにどうやって移動させられるのでしょう。野生なのでつかまえるのも簡単ではなさそうだし、他の公園に放してもすぐに帰って来てしまいそうです。

また、透明感ゼロの水をのぞきこめば、どうやら湖底は苔むしていそう。これを泳ぐのに適した状態にするのも結構大変そうです。公園にはサーペンタイン・スイミングクラブという団体があり、メンバーはことあるごとにここで泳いでいますが、イギリス人以外の選手にはちょっと抵抗がありそう。そんなわけで、サーペンタイン湖がどんな風に競技会場に変身するのか、興味はつきません。

世界遺産や歴史的建造物も、
惜しげなくオリンピック会場に。

世界遺産のグリニッジ天文台がある「グリニッジ・パーク」、ヘンリー8世の住まいだった「ハンプトン・コート・パレス」など、他にも、それだけで観光の目玉になるような歴史的建造物がオリンピック会場になっています。また、テニスの聖地「ウインブルドン」や、サッカーファンにはたまらない「ウエンブリー・スタジアム」なども会場になります。こうして改めてみると、名所旧跡だらけのロンドンで、既存の観光名所とオリンピックを上手く融合させていこうという姿勢と努力がよくわかります。

期待が高まるロンドンオリンピック&パラリンピックですが、ちょっぴり心配なのが会期中の移動。封鎖される道が多かったりして、車での移動は避けた方が無難。当局も公共交通機関の利用を呼びかけています。そこで活躍するのが日本のスイカやPASMOにあたるオイスターカードです。

地下鉄の初乗りは切符を買えば4.30ポンドもしますが、オイスターカードなら2ポンドで済みます。地下鉄、バス、DLR(ドッグランズ・ライト・レイルウェイ)など利用できる交通網は多く、ロンドン観光には欠かせないカードです。英国政府観光庁とヴァージン アトランティック航空では、このオイスターカードをプレゼントする共同キャンペーンを実施中。2月1日から2月29日のキャンペーン期間中にヴァージン アトランティック航空のウェブサイトで、東京・ロンドン間往復航空券を予約・購入すれば、もれなく「オイスターカード10ポンド」とオイスターカードに貼ることが出来るヴァージンオリジナルシールがもらえます。ロンドンに行くならこれを見逃す手はありません。オイスターカードを使いこなして、しっかりとロンドンとオリンピックを堪能しましょう。

【関連リンク】
ロンドンオリンピック&パラリンピック公式サイト
英国政府観光庁 ブログ

【協力】
ヴァージン アトランティック航空
英国政府観光庁