『Age(アージュ)』ニュージーランドスペシャル マタカナにプロヴィダンスを訪ねて。

(2009.07.02)
ニュージーランド〔以下NZ〕に彗星のごとく出現した「カルトワイン」「シンデレラワイン」などと形容されるプロヴィダンス。その畑はNZ最大の都市、オークランドの中心部から北に車で1時間ほどのマタカナにある。
プロヴィダンスのオーナー・ワインメーカー、ジェイムズ・ヴルティッチ氏〔ジムさん〕の本職は弁護士。趣味が高じて造り出すワインは世界中で評判に。そのプロヴィダンスにジムさんを訪ねた。

「やぁ、いらっしゃい!」と大きな笑顔で迎えてくれたジムさんは乾いたぶどうの剪定枝を燃やし始めたところだった。それが何のためかを知るのはしばらく後のこと……。

訪れたのは4月始め。南半球にあるため日本と季節が逆のNZはぶどうの収穫期に入る。そこでまずは目の前に広がるブドウ畑に案内してくれた。ぶどうの房は地面に触れんばかりにふくよかに、重く垂れ下がっていた。そのぶどうを1房、2房ハサミでパチンと切り取り、ぶどうの粒を口に含んだジムさんは「この天気が続いてくれれば、あと2週間だな・・・」と。まだ甘みが足りないのだそうだ。手渡されたぶどうに濃厚な甘みを感じた私はこの一瞬に居合わせたことが心地良かった。

プロヴィダンスはわずか2ヘクタールほどの土地にメルロー、カベルネ・フラン、マルベックそしてわずかながらシラーが植えられている。

乾いたぶどうの剪定枝を燃やすジムさん
ブドウの房は重く垂れ下がっていた
「あと2週間だな……」