『Age(アージュ)』ニュージーランドスペシャル マタカナにプロヴィダンスを訪ねて。

(2009.07.02)

プロビダンスの土地。

プロヴィダンスの独特の香りは非常に高い鉄分を含む粘土質の土壌から生まれるものだという。実際に見せてもらったその土壌は赤みを帯びて、輝きを放っている。
「ここは元々父が見つけた土地。気候、土壌、畑のスロープ、北向きであること(NZは南半球にあるため、北向きのほうが日当たりが良い)等々全ての条件がワイン造りに適していると確信した」とジムさん。

Providenceの土壌

専門家はその香り、コク、風味、味の深みから、プロヴィダンスはアメリカ、オーストラリア、チリ、NZ等のいわゆる「ニューワールド・ワイン」というよりもフランスのサンテミリヨンやポムロールのワインを髣髴すると語る。私はプロヴィダンスに出会えたことが何よりも嬉しい。多くの人がそうであるように、私もジムさんの人柄とジムさんが造るワインに魅了されたひとりなのだ。

 
桶で開放発酵・新樽で熟成。

「それじゃあ、ワイン造りの作業場を見る?」といって案内された部屋には発酵用の大桶が6本と木製しぼり機が2基。大桶のひとつを指差して「あれは祖父の代から使用している桶でね。今でも充分に活躍している」というジムさんは少し自慢げ。ぶどうの摘み取りを待つこの部屋は「さぁ、いつでもやってこい」といわんばかりに準備が整っていた。

次に熟成室へ。
云われるがまま後について分厚い木の階段を降りると熟成樽がずらり。専門家ならこの香りをどのように表現するのだろうと一瞬ボーっとしていたら、「全て新樽でね」とジムさん。自然農法によるぶどう造り〔ジムさんは「自分のやり方はオーガニックではなく「natural farming”」と云います〕、酸化防止剤や保存料などの添加物を一切使用しないことは夙に有名だが、この新樽もプロヴィデンスのこだわりのひとつだ。

ぶどうを一次発酵させる木製の桶。
準備万端整ってぶどうを待つばかり。
故麻井宇介氏が共通の友人であることを知ったジムさんとフォトグラファーの小松勇ニさん。思い出話は尽きない。