from パリ(たなか) – 7 - アントニーの朝市へ買い出しに。

(2009.06.15)

日曜日、パリ郊外アントニーの朝市へイナバさんとバスに乗って出かける。ここの市は週3回立つそうだ。最近改装されたという木造屋根付きのモダンな建物は市場とは思えない外観だ。中は明るく、相当広い。買い物客の大半がカートを引いていて、意気込みが伝わってくる。築地の場外みたいな威勢のいい掛け声があちこちで響き、いやが上にも消費意欲が高まる。

アントニーの市場には、私が最初にパリを訪れた14年前にもイナバさんと来たことがあり、ムール貝やウサギ肉を買ったことを思い出した。超モダン市場に変身しても、新鮮で豊富な商品の品揃えは変っていない。

野菜の店だけでも、旬の野菜だけ、きのこ関係、果物中心、葉ものや根菜類など、品揃えの微妙な違いで10軒以上ありそうだ。肉屋も牛豚羊鳥兎など扱う肉で分かれているし、臓物中心、パテなど練り物専門店もある。鉈みたいな包丁で切って売る肉屋の人たちだけ、医者みたいな白い上着だ。魚屋も4〜5軒あったかなあ。カレイとか、サバ、イワシ、もちろんイカだってある。行ったのが11時くらいだったので、鮮魚関係はそろそろ店じまいの支度をしていた。

魚の種類は想像以上に多い。colinはメルルーサ。これだけ新鮮な魚があるのに、パリで流行ってる(中国人経営の)寿司屋のネタが殆どサーモンかマグロ、というのが私には信じられない。日本人が握っている、ちゃんとした寿司屋に行けば白身魚もあるんだろうな。
ケーキ屋の店頭ではありません。テリーヌとかパテなどの専門店。
このルバーブでジャムやタルトを作ったら、さぞや……

それぞれの店ごとに独特の匂いがある。慣れないと臭かったりもするが、初めて嗅ぐような匂いは、いちばん外国を感じる。まるで犬になった気分。子どもの時から母に付いて市場に行くのが好きだったが、外国の市場はまた格別だ。市場の楽しみは、何だか分からない食品を見つけたり、店の人と客のやり取りを見ながら会話を想像したり、試食したり、おまけをもらったり。いや、私はまだいろいろ出来ませんが、早く喋れるようになりたい。買い物客に意外とオジサンが多かったのが私には嬉しかった。あのオジサン達は、家に帰って料理もするんだろうか?

チーズの店。別の売り場には、山羊や柔らかいクリームチーズも豊富。パリに来て、食事の最後にチーズを(パンに付けて)楽しむ習慣がついてきた私です。お新香感覚に通じるところがあるかな。その後にデザートもあるのですが。
市場で、今いちばん光ってるのがサクランボ。隣のホワイトアスパラも旬。桃(白と黄、こちらのものは小粒)やネクタリンも出始め、果物屋の店頭は甘酸っぱい匂い充満。イナバさんちの庭にもサクランボの木があり、梯子をかけて収穫します。今年の作柄は天候不良につき、前年度比で大幅な減産。しかし、穫りたての味は格別。
鶏肉専門。小さな鳥って、雛鳥のことなんだ。

商品は殆ど量り売りで、値札には産地も表示してある。東京との価格差を暗算したり、あやしげな調味料のパッケージを楽しんだり、市場を歩いてると時間を忘れる。観光旅行の時は、買っても調理出来ないので悔しい思いをしたものだが、今回はおかずの材料として買って帰ることが、子どものお使いみたいに妙にうれしい。パリにはスーパーマーケットもあるが、屋根付きの常設市場があちこちに残っている。すぐ食べられる総菜もいろいろあって、お一人さまにも重宝。買い物が終わって、市場通りの馴染みのカフェで休むのも楽しい。

台所用品の店。いま私がパリで探している部屋は家具付きで、食器なども一通り揃っている。料理が出来る程度の鍋釜包丁も付属しているはずだ。とはいえ、使いやすい包丁の一本ぐらいは自分で買いたいなあ。
ドライフルーツの店。干しイチジク好きの私としては釘付けとなった。イラン産、トルコ産、国内産などなど。大きさといい、乾燥具合といい、日本の干し柿のバリエーションみたいだ。たまりませんね。袋に詰めてもらっているのは野生のもの。試食したら、小振りだが味が濃い。
ポルトガルのパン屋さん。どこの市場にも必ずあるようだ。右の丸いパンは、素朴で飽きがこない。12個買うと安くなったりする。下の棚にある小さなパイ(カスタード)はポルトガル名物。6個買って1個分安くなった。