from 鳥取 – 57 - 梨狩りシーズン、到来です。

(2010.08.25)

見た目も味わいもすっきり上品な「二十世紀梨」。もぎたては甘さを強く感じるようで、いくつでも食べられます。

 

先日、観光客の方の話がちらりと聞こえました。

「砂丘に行ったら、ほんま砂漠やったわ…」。

うんうん、そうでしょうとも。酷暑、猛暑と評される今年の夏は、一段と太陽のすさまじいパワーが身に染みます。ゆらゆらと陽炎が出て、本当に砂漠にいるよう。夏の砂丘は、ぜひ夕刻からの探訪をオススメします。真っ赤な太陽が日本海にゆっくりと沈み、静かに眠りにつく夜の砂丘はとっても幻想的ですよ。

そんな砂丘のすぐそばには、広大な梨畑が広がっています。なにをかくそう、鳥取を代表する秋の味覚「二十世紀梨」の畑です。この8月下旬から9月中旬にかけてはまさに二十世紀梨は旬を迎えます。超地元に住みながら、実はまだ鳥取では梨狩り未体験だった私。このチャンスにと息子達を連れ、早速本場の梨狩りを体験してきました。

 

どれもずっしりと重く、おいしそう! まずはこの梨から、いただきます。
息子たちには少し高いので、佐々木社長に手伝っていただきました。

お邪魔したのは『さんこうえん』。砂丘のすぐ横、多鯰ヶ池(たねがいけ)そばにある観光農園の一つで、創業はなんと1905年(明治38年)と、鳥取県随一の歴史ある農園です。足元は長靴、首にはタオルでいざ出陣です。皮むき用のナイフと入れ物、ゴザを借りて畑に向かいます。緑の林に入ると、美しい薄緑色の梨がいくつもぶらさがっています。梨の葉っぱが木陰をつくり、いくらか涼しく感じます。「さあ、どれでも好きなのを好きなだけ食べんさい」と『さんこうえん』の佐々木友己社長。おいしい梨の見分け方は、(1)硬くてぴんと皮がはっている (2)ずっしりと重い (3)皮の表面を触るとざらざらしている などがあるそうです。が、「そんな細かいことは気にせんでも、食べればわかるわいな」と。それなら、とにかく食べましょう! もぎ方は実に簡単。実を手に取って下から上にくいっと持ち上げれば、あれま、軸の部分からポキッときれいに折れます。そのあとはすぐさま皮を剥き、豪快にガブッ! とかぶりつきます。「おお~!」。まさにぼたぼたというくらい、ジューシーな果汁が手からこぼれていきます。シャリっとした歯ごたえと、上品な甘さがたまりません。あっという間に1人1個ずつぺろりとたいらげ、早くも次をゲットしに走り出しました。佐々木社長によると、平均は1人3個程度だが、最高で7個も食べた人がいたんだとか。

 

借りたゴザに座り、早速皮剥きです。プラスチックのナイフですが、きれいに剥けます。
母ちゃんがむいた側から息子が食らいつく! 本当においしいものは子どももわかります。

梨狩りは小さなお子さんでも十分楽しめます。パパにちょっとだっこしてもらえば、簡単にもぐことができます。ほかにも、自然に囲まれた梨園にはたくさんの虫がやってきます。取材時にも蝶やとんぼ、そして蝉が目の前を飛びまわっていて、息子たちもうれしそうに追いかけていました。また『さんこうえん』では、雨の日でも梨狩りができるハウスや車椅子でも畑に入れるように舗装された場所が設けられているので、さらに安心です。自家製の梨ジェラートや梨カレーなども食べられ、まさに梨づくしの1日が楽しめます。

 

よく見ると葉っぱの裏側には蝉の抜け殻があちらこちらに。標本ができるほどの多さです。
お土産用の梨も別途販売されています。持ち帰り、冷蔵庫で冷やして食べるとまた格別です。

梨はほぼ水分でできています。たしかにたっぷりと実にたくわえられた果汁は、身体中にしみわたる感じがします。おいしく梨を味わったあとは、中部地域・倉吉市にある「鳥取二十世紀梨記念館 なしっこ館」に足をのばしてみるのもオススメ。『さんこうえん』からだと車で1時間ほどかかりますが、梨栽培の歴史から、実際に数種類の梨を試食できるギャラリーなど、梨をもっと身近に、詳しく知ることができます。

『さんこうえん』では、二十世紀梨の他にもいろいろな種類の梨があり、11月中旬ごろまで梨狩りを楽しむことができます。今年はあまりのいいお天気続きに、梨たちも早く熟れてしまうそう。例年に比べて梨狩りのできる期間が短くなることも予想されるので、ぜひお早めに鳥取へ。おいしい梨があなたを待っていますよ。

【お問い合わせ】
さんこうえん http://www.sankouen.com/
鳥取二十世紀梨記念館 なしっこ館 http://cms.sanin.jp/p/nashi/