from 広島 - 16 - 瀬戸内海をまるごと再現、
水族館で海の幸に出会う!?

(2011.12.14)

立ち泳ぎしているタチウオ

紅葉のピークと広島の冬の味覚「カキ」が味わえる季節を迎え、観光客で賑わう「安芸の宮島」。宮島表参道商店街を通り、厳島神社にお参りした先には、今年8月にリニューアルオープンしたばかりの広島唯一の水族館「宮島水族館・みやじマリン」があります。

ここ「みやじマリン」には、もちろんペンギンやアシカといった水族館の人気者もいますが、メインとなっているのは瀬戸内海に生息する生き物たち。なかでも、海の幸の豊富な広島では身近な存在でありながら、普段見ることのできない魚たちの生態は、大人の私にとっても非常に興味深い展示です。

たとえば、イワシの群れの展示自体は珍しくないけれど、同じイワシでも広島の郷土料理として有名な「小イワシ(カタクチイワシ)」が群れをなして泳いでいると、瀬戸内海らしさを実感できます。

また、暗い水槽でひらひらと立ち泳ぎしているのは「タチウオ」。初めて見るタチウオの泳ぐ姿に、学生の頃、同級生の男子たちが自転車で夜釣りに行っていたことを思い出して、「あの夏の夜も、海の中ではこんなふうにタチウオが立ち泳ぎしていたのかぁ。」なんて想いを巡らせてしまいました。タチウオが長期飼育されているのは、全国でもあまり例を見ないそうですよ。

カキいかだ 下から見るか、横から見るか

そして、広島の海の幸の代表格といえば、ちょうど旬を迎えた「カキ」。全国でもっとも水揚げ量が多く、シェア約50%の広島のカキは、「カキいかだ」と呼ばれるホタテの貝殻にカキの幼生を付着させたものを吊るし、沖合いに浮かべた筏を使って養殖されています。

宮島へフェリーで渡る時に、船の上からいくつもの「カキいかだ」を見かけますが、なんと、その「カキいかだ」を上からだけでなく、下からでも、横からでも眺めることができるのです。

2Fにある「カキいかだ」水槽の上部は開放してあり、漁師さんたちと同じ目線に立っているかのよう。箱メガネがいかだの脇に並べてあるので、水中に延びていくホタテの貝殻や、その横をすり抜けていく魚たちを見られます。

1Fに降りると、今度はまるで海中に潜っているように、「カキいかだ」を下から見上げることができます。
活発な動きや劇的な変化はないことが、一層リアリティーさを強めてくれているように感じます。

暗くなるまで、待って。

宮島水族館で夕方まで過ごしたら、そのままフェリー乗り場に向かうのではなく、カフェでお茶したり、もみじまんじゅうを買ったりしながら、日没まで宮島に滞在することがおすすめ。夏場は日が長いから帰りの時間が気になりますが、秋から冬だと、18時ごろにはとっぷり日が暮れてしまいますので大丈夫ですよ。

宮島に宿泊しない限り、なかなか宮島の夜の顔を見る機会がないせいか、広島県人にも意外と知られていませんが、宮島でも毎晩ライトアップをしているんです。

夜の闇に映し出された大鳥居と厳島神社、そして海に沿って続く参道の石灯籠の灯火は、幻想的な雰囲気を醸し出してくれています。

来年1月放送開始の大河ドラマ「平清盛」の舞台にもなる宮島は、ますます注目のスポットになりそうですね。