from 鳥取 – 13 - 初夏まで味わえる、地元限定の幻のエビ。

(2009.03.19)

桜の開花がちらほら聞かれる今日この頃、
鳥取でも海の幸が春へとシフトチェンジ!
そんなこの時期にしか味わえない
幻のエビがあると聞いて、早速岩美町へ。

いました、存在感たっぷりの大ぶりなエビが。
その名も「ゴジラエビ」。♪ダダダン、ダダダン…。
確かにあの某有名怪獣のごとく、とてもゴツイ顔。
殻は硬く、頭やお腹側にはするどい棘がたくさん。
けれどその名前とは裏腹に、長く伸びた立派なひげや
赤く美しい縞模様、ちょこんと付いたつぶらな瞳など、
ちょっと憎めない表情がかわいい幻のエビちゃんなのです。
 

県内でもゴジラエビのお刺身はまず食せない。こちらのお店ではお刺身2匹で600円。 ごつい体に似合わず、小さく離れたキュートな瞳。体長約10センチとこの種類では大ぶり。

“幻”の理由はいくつかあります。
まずは漁獲量が極端に少ないこと。
カニの漁期と重なる時期が長く、
カニ網の中に偶然入っている程度の数しか
獲れないのが現状。
次に鮮度がすぐに落ちてしまうので、遠方への出荷が難しいこと。
県外はおろか、県内でも漁港近くでしか手に入らず、
しかもいつでも水揚げされるものでもない。
もうまさに“幻”なんです。

通称「ゴジラエビ」または「オニエビ」と呼ばれるこのエビ、
正式名称は「イバラモエビ」と言います。
甘エビのような上品な甘さを持ちつつ、
その身はプリップリの食感。
肉厚で、食べ応えバッチリです。
さらにお腹の卵や頭部のエビミソと、
どこをとっても幻にふさわしいお味。
お刺身はもちろん、煮付けや塩焼きにしても美味なのです。
 

エビのエキスがたっぷり染み出た煮付け。煮ても鮮やかな紅白の縞模様は健在で、目にもおいしい。 絶対おすすめのお刺身。上品な甘さが口いっぱいに広がり、まさにキング・オブ・エビ!の旨さ。

今回取材に協力をいただいたお店の方によると
硬い殻や棘のために、調理中ケガをしたり、
活の状態で仕入れるため、鮮度管理にも気を使うそう。
でも、そのおいしさにファンになるお客さんも多いそう。
たしかに、その深みのある旨みやユーモラスな姿は
また食べたい、会いたいという気持ちにさせてくれます。

“幻のゴジラエビ”は5月下旬頃までがシーズン。
初夏は日本海がコバルトブルーに染まる、
一年で一番美しい季節でもあります。
今回ご協力いただいたお店は、山陰海岸国立公園の景勝地・
浦富海岸の目の前にあるので、爽やかな潮風にふかれながら、
幻のゴジラエビを食す、なんて粋な旅も楽しめますよ。

さあ、ここでしか&今しかない
限定・幻のエビを鳥取に食べにきんさい。
 

元漁師の『旬魚たつみ』社長。「本物の日本海の 味を食べて欲しい」と地物・活魚にこだわる。 今回ご協力をいただいた『旬魚 たつみ』。Tel 0857-72-8700