from ミュンヘン – 4 - 市場で見かける馴染みのない食材を開拓する。

(2010.08.17)

ドイツからグーテンターグ!

ドイツレストランに行くと、決まって登場するのがじゃがいもを使った料理。もちろんじゃがいもはドイツを代表する野菜です。でも市場に行くと、じゃがいも以外にも欧州中から集められた野菜や果物を見ることができます。

ミュンヘンの中心部にある「ヴィクトリアン市場」では、馴染みがなくて「これどうやって調理するのだろう?」という食材に数多く出合います。特にこの夏の時期は珍しいものがいっぱい。すでに挑戦してみたもの、調理法がわからず未だに挑戦したことのない素材などありますが、知り合いのドイツ人から少しずつ聞いた情報をもとに、どんな使い方をするのか紹介していこうと思います。

 

1 アンズ茸(ジロール)

アンズ茸は夏から秋にかけて食される季節限定のキノコです。市場の値札を見る限りではドイツ産やフランス産が多く出回っているようです。しっかり火を通してもシャキシャキと歯ごたえが残っていて、食感はしめじに似ています。レストランではオムレツにして食べることが多いようです。家ではクリーム系の料理によく合いそうだとパスタに加えて調理してみたところ、上品なしめじパスタのように仕上がりました。もしかするとバター醤油味でも美味しいのかもしれません。イタリアのポルチーニ茸は秋の味覚として大好物ですが、アンズ茸は概して値段も手頃なこともあってまた使いやすい食材なのでお気に入りリスト入りです。
 

山盛りになった黄色の山。あまり洗わないようですが、家では刷毛を使って汚れを落としています。
クリームパスタはクセもなく美味。

 

2 スピッツコール

ドイツに来てからすぐに買ったキャベツは日本と同じ丸型。この丸型はドイツやポーランドなどではザワークラフト(キャベツの酢漬け)などにして一般的に食べられているようです。でもこれは日本のものとは種類が違うのでしょうか、不思議と火を通してもまったく柔らかくならず食卓での登場機会は少なくなっていました。そんなときに見つけたのがスピッツコール。直訳すると「尖ったキャベツ」。葉っぱが薄くて食感が日本のキャベツに似てこれなら使えるとよく買う野菜になりました。家ではお好み焼きやロールキャベツなどに使っています。

愛嬌がある形だなーと手に取りたくなります。

 

3 Kumato(クマト)

スペイン・フランスを中心に欧州一帯のトマト関連の協会などが集まって開発した100%ナチュラルを謳い文句に売り出しているKumato。ドイツでは「EDEKA」や「REWE」など大手スーパーで一年中購入が可能とのことでさっそく買って食べてみました。外側は固いのでまだ食べごろではないのかな?と思いながら食べてみると、中は意外にもジューシー。そのままサラダとして、または調理して前菜、メイン、さらにはデザートにも向く幅広く活用できる便利な野菜のようです。専用のHPではレシピコンテストも開催されているほどで今後が楽しみな野菜です。最近はエアルーム・ベジタブルという言葉を耳にするようになり、日本でも緑やオレンジなどカラフルなトマトがお目見えするようになっているそうですが、ここまで黒いトマトはさすがにないでしょう。現在は欧州内でしか購入できませんが、ブームになれば将来的には日本でもこのKumatoが購入可能になるかもしれませんね。

クマトのホームページ:www.kumato.com(日本語なし)
 

ものによってはプラムのような黒さのものもあります。
断面も黒。でも遺伝子操作とかしたものではありません。

 

4 フェンネル

日本ではウイキョウとも呼ばれています。心臓のような見た目で手にとるのを一瞬戸惑いますが、口に入れるとセロリのような食感のあとに独特の後味は残ります。この後味のせいで好き嫌いに個人差があると思いますが、ぼくとしては好きとも嫌いともいえないどちらでもない部類。レストランではサラダとして生としても、付け合せとして熱を加えても食べますが、家ではあまり手を加えず、スライスしたフェンネルと柑橘系のフルーツを合わせて、オリーブオイルと塩コショウで味付けするだけのシンプルな食べ方をしています。それだと後味は残りますが柑橘の酸味と合わさって美味しく食べられる気がします。

さわやかそうな見た目を裏切る後味。

 

5 根セロリ

日本でのセロリといえば緑の「茎」部分(写真左)ですが、ドイツではこの「茎」と「根」(写真右)の部分が一緒に売られています。といってもこの2つは品種が違うもののようでした。最初にこの「根」部分を食したのはレストランでサラダに出されたときでしたが、それ以来家では皮をむいてそのままサラダにして食べています。そのほかスープにしてもセロリ独特の風味が広がります。日本のスーパーではあまり見ない食材でしたが意外と美味しくいただける新発見の野菜です。

ドイツではとてもよく食べられている野菜。どうして日本ではあまり見ないのでしょうか。

 

6 コールラビ

コールラビは日本語に訳すとキャベツカブ。その名の通り、カブのような食感で強い味はないですが、「茹でて良し」、「焼いて良し」の万能選手。根セロリ同様に皮をむき、茹でてサラダにしたりコンソメ系のスープの具にしたりすると美味くいただけます。またバター、塩コショウのみでオーブン焼きにすると簡単なのに存在感のある付け合わせが出来上がります。

根セロリ同様、日本の食卓でも活躍しそうな食材。

 

7 ロマネスコ

写真では分かりにくいかもしれませんが、写真中央の緑の野菜です。パッと見、円谷プロの敵キャラのような風貌のロマネスコ。値段は普通のブロッコリーの3倍ほどでなかなか手が出ません。新種のようにも思えますが、実は16世紀頃から存在する立派な一品種で、味はブロッコリーに近いとのドイツ人の知人のコメントでしたが正直なところ、見た目が苦手と値段の関係もあってまだ挑戦していません。

ううん、なかなか手が出しづらい形。

 

8 ばんとう(Bergpfirsich/ベルグフィルシュ)

“つぶれた桃“という例えがしっくりくるこの桃、黄桃が主流のヨーロッパでは貴重な白桃です。最近日本人の知人と「ドイツにはおいしい桃がないよね」という話をしていたところお勧めされ食べてみると、日本の白桃に味が似ていることもあり、一気に大好物になりました。それ以来我が家の食卓に頻繁にあがる食材となりました。日本では見たことありませんでしたが、ヨーロッパではなく中国が原産のようです。原産国がどうであれドイツでは市場などでも夏だけの限定のフルーツとして親しまれています。

もう手放せないこの白桃。ねっとりした食感がたまりません。

 

9 セイヨウスグリ(Stachelbeere/シュタッヘルベーレ)

小粒の巨峰くらいの大きさのセイヨウスグリ、欧州一帯で食べられています。実際に食べてみるとかなりの酸味で顔が強張ります。同じ酸っぱいにしても、レモンなどのように汁分が多いわけでもなくそのまま食べるのが一般的なので酸味を和らげる策は見当たりません。そのせいもあってかドイツではジャムにも加工されているようです。口に入れやすいサイズのフルーツとはいえ、個人的には苦手です。

一度この酸っぱさ、お試しください。

 

いろいろ珍しいものを集めてみましたが、他にも紹介しきれなかった食材がまだまだたくさんありました。最近は日本でも珍しい食材が購入可能になってきていると思いますが、欧州の変わったものも食べてみると意外と美味しいものに出会え、食の楽しみのひとつといえます。もしどこかで見かけましたら是非お試しあれ。