from 北海道(道央) – 14 - すながわスイートロード。

(2009.11.16)

「スイート」に込めた願い。

日本一の直線道路が存在する一般国道12号。空知(そらち)管内・砂川(すながわ)の街には、日本一の「スイートロード」があるのです。

 
なぜ「スイーツ」ではなく「スイート」なのでしょう?
形容詞である“sweet”は、魅惑的、気持ちよい、惚れ惚れする、心地よい、素敵な、といった意味を持っていますが、砂川という街をこのすべての形容詞に当てはまるような街にしたい。そういう願いを込めて2003(平成15)年にスタートしたのが「すながわスイートロード協議会」なのです。

「すながわスイートロード」など砂川市の魅力を伝えるパンフレット類。

 
主人公は「市民」。

砂川市内の一般国道12号直線道路の沿線には、創業100年を超える老舗から新しいお菓子づくりに取り組むお店まで9つのメーカーの12のお菓子屋さんが約5kmの範囲で立ち並んでいることから、その通りを「スイートロード」と呼んでいます(一部店舗は「砂川ハイウェイオアシス館」内や、道道砂川・歌志内線沿線にあります)。

砂川には昔から美味しいお菓子屋さんが多いということは、近隣に炭鉱町を抱えていたことも影響しているからでしょうか、「甘いものを食べたい!」という地域に住まれている皆さんの自然な欲求から発展していったようです。協議会自体はこれらのお菓子メーカーが中心となって運営しているわけではなく、あくまで「市民」が主体で中心市街地活性化の一環として「行政」も一緒になってこれを盛り上げようと取り組んでいるというのが実態なのです。

 
「夕張メロンピュアゼリー」だけじゃないのです。

北海道の高級果実を活かしたお菓子としては「夕張メロンピュアゼリー」がお馴染みでしょう。元々煎餅屋さんであった「ホリ煎餅屋」さんが開発したゼリーであり、ホリさんは、先ほどの9つのメーカーのうちの2つ、「ショコラノヲルHORI」「北菓楼(きたかろう)」さんを経営されています。

「いよだ」「壷屋」「プチ・トリフ山屋」「ほんだ」「吉川食品」の5つのメーカー。それぞれに個性豊かな経営をされていて、例えば「吉川食品」さんは、全国の「おはぎ」の10%のシェアを誇り、恐らく国外で食べることのできる美味しい「おはぎ」はこの吉川食品さんの冷凍保存技術導入という努力によってもたらされているのです。

今回、特に注目してお邪魔させていただいたお店は「ナカヤ」さん。数量限定特製「アップルパイ」は、「国内では砂川でしか食べることのできない美味しさ」であるという噂を聞きつけ、お邪魔してみました。新鮮な「富士リンゴ」を丁寧にパイ生地に包み込んでいて、パイ生地の軽さと特有の香りの素晴らしさは言うに及ばず、確かに噂通りの逸品であることを理解しました。これで、9つのうちの8つのメーカーをご紹介しました。

残る一つのメーカーである「岩瀬牧場」さん。直営牧場の牛乳を原料とした「一生懸命」という3層構造の生チーズケーキを販売していて、これがまた大人気商品。砂川の岩瀬牧場さんを訪ねれば、今までに味わったことのない新鮮で超美味な「ジェラート」を楽しむことができます。甘いものはそれほど得意ではない筆者ですが、このジェラートは病みつきになります。

「夕張メロンピュアゼリー」などを制作する「ホリ」、「北菓楼」などの工場。外観もとても綺麗で、好印象です。
シベリア鉄道の枕木から名前を取ったロングセラーのデニッシュペストリー「シベリア」を販売する「プチ・トリフ山屋」さん。
約60haの牧場に200頭の牛を大自然の中で育てている「岩瀬牧場」さん。
グラハムクッキー・やさしいスフレ・独特の風味を誇るフロマージュクリームによる3層構造のチーズケーキ「一生懸命」など、直営牧場からの恵みがたくさんのお菓子に。
ここでしか食べることができない「ジェラート」。写真は、下にほろ苦さそのままの「抹茶」、上には一番人気の「しぼりたて」というダブル。未知の美味しさが広がっていました!! 北海道に「万歳」!!
野焼きパンを作ったり、一般国道12号沿線では最南端に位置する「洋菓子&銘菓 ナカヤ」さん。
「ナカヤ」さんのショーケース。一口づつでもいただいてみたいという欲求が・・・。
「ナカヤ」さんの菓子職人で店を切り盛りしている菅野眞人(すがの・まさと)さん。お母さまと奥さまとでお店は大忙し。お母さまの語りがまた楽しくて、話をしていると時間を忘れてしまいます。
焼きあがったばかりの「特製アップルパイ」。絶品です!!予約の電話をいれておけば、確実に入手できるとのこと。また、リンゴの収穫がされない時期には「新栗いっパイ」が登場するそうです。

 
ファームレストラン「リヴィスタ」にて。

「すながわスイートロード」を行政サイドとして推進している田伏清巳(たぶせ・きよみ)砂川市経済部商工労働観光課長さん。何せ人当たりのよい方で、「すながわスイートロード」に込める想いは人一倍の強さを感じさせてくれる方なのです。市町村の職員で、田伏さんのような熱心な方がいらっしゃる街は実に「強い」。そう実感させていただける素晴らしい方です。

先ほどの岩瀬牧場さん直営「ファームレストラン リヴィスタ」さんに一緒に立ち寄ることとなり、日替わりのパスタをご一緒にいただきました。この日は地元の山菜を使ったパスタでしたが、スイートだけではなくワインも置いていて、地元の食材を上手に活用したお店が存在することも、実は砂川の大きな魅力なのだと感じることができました。北海道新聞社さんが主催する「スイートロード」を訪ねる日帰り旅行など、札幌のみならず全道の主要都市発着を中心とした様々な旅行プランも組まれていると聞いております。

私は「スィーツ」よりも「ワイン」ですが、全国の皆さまに、是非とも実際に現地・砂川へと足を運んでいただき、砂川市民が中心となって取り組んでいる魅力と熱意に溢れた日本一の「スイート」を堪能していただければと思います!!

岩瀬牧場さんが経営する「ファームレストラン リヴィスタ」。小高い丘の上に建つログハウスのレストラン。この日もお客さまで溢れかえっていました。
岩瀬牧場さんの経営理念などが、さりげなくPRされています。
まさにこの道10年という「すながわスイートロード」の黒子、砂川市・田伏清巳(たぶせ・きよみ)商工労働観光課長さん(写真左)。右は、少々疲れ気味(笑)の筆者。
「リヴィスタ」さんの日替りランチは、パスタかピザを選ぶことができます。この日の日替りパスタは、砂川近郊で採れた山菜をふんだんに使った「山菜パスタ」。