from 北海道(道央) – 40 - 紅葉の季節を迎える「NISEKO」。アンヌプリ登山に挑む。

(2010.09.22)
ゴンドラ山頂駅付近からは、ニセコ町、倶知安町に広がる大規模経営の農場や、豊かな自然を眺めることができる。

国際色豊かな「NISEKO」へ。

「ニセコ=NISEKO」。

スキーやスノーボードを楽しまれる方であれば、一度は足を運んだことがあることでしょう。

ニセコ町、倶知安町(くっちゃんちょう)、蘭越町(らんこしちょう)を含む一帯を、「ニセコ」と呼んでいます。オーストラリア人をはじめとして、外国人の居住者や別荘の急激な増加など、ここ10年程の間に「ニセコ」を取り巻く環境は大きく変化しました。
 
「ウィンタースポーツ」に関して、ニセコの雪質の良さは、今から25年前に富良野でスキーを楽しんでいるときに同宿したオーストラリア人から、「ニセコは素晴らしい!!」と実際に聞かされていましたが、北海道在住者よりも外国の皆さんに、当時から高く評価されていたことを今更ながら実感しています。
 
一方、ニセコ連峰と尻別川(しりべつがわ)を挟んだ東側には、「蝦夷富士(えぞふじ)」と呼ばれる標高1,898mの「羊蹄山(ようていざん)」があります。年に数回、羊蹄山を見る機会がありますが、日頃の行いが関係するのかどうか、山頂に雲がかかっていない山の姿をなかなか見ることができません。

意外にも、見る角度によって富士山とは違った面持ちを見せてくれる羊蹄山は、常に凜とした姿を我々に見せ付けてくれるのです。

富士山をイメージさせる姿から「蝦夷富士(えぞふじ)」と呼ばれる標高1,898mの「羊蹄山(ようていざん)」。山頂まで4時間から6時間程度の登山ルートが数本あるが、中級レベルの登山歴が必要。

 

「ウィンターシーズン」のみならず、四季折々を楽しむことができる。

さて、世界が評価するスキー場のある山「ニセコ」ですが、冬場だけが「ニセコ」の魅力ではないのです。

四季折々、ラフティング、カヌーなどの川を楽しむスポーツ、テニス、パラグライダー、熱気球などなど、大人から子どもたちまでが水辺、地上、空で楽しむことができる、自然溢れる魅力的な土地なのです。もちろん、特産品であるジャガイモや山菜をはじめとする「食材」の宝庫でもあり、さらには花々が可憐に咲き誇る自然環境の中、トレッキングを楽しむ年配の御夫婦とお会いすることもあります。
 
また、ニセコと言えば「温泉」。

五色温泉、湯元温泉、昆布温泉、湯の里温泉等、地域ごとに様々な温泉が湧き出ていて、温泉同士で連携した入浴チケットを販売していることもあり、レンタカーさえあれば、2~3日間で一通りの温泉をゆっくりと楽しむことができます。
 

冬場はスキー場の斜面から、パラグライダーの滑空準備を進めている。
大空高く舞い上がる「パラグライダー」。一度は体験してみたい。

「ニセコアンヌプリ」の山頂を目指す。

つい先日、「秋の気配を感じたい」と、思い立って「ニセコアンヌプリ」に一泊で行ってみました。

標高1,308mのニセコアンヌプリは、「ニセコアンヌプリ火山群」の主峰に位置付けられます。

スキー場を抱える山として見た場合、JRニセコ駅から見て右側から順にヒラフ、東山、アンヌプリ、モイワという順序になります。
 
私事ですが、就職してすぐに道東の釧路に配属となり、釧路在住の3年間、管内の名峰である雌阿寒岳(めあかんだけ)、武佐岳(むさだけ)などの山々を登る楽しみを味わっていたのですが、今回アンヌプリを目指すのは、約20年前に日高山脈にあるアポイ岳を登って以来のこと。

アンヌプリゴンドラ山麓駅から一気に山頂駅までゴンドラで。山頂駅のある地点が、標高1,000mですので、山頂までは標高差308m、登山距離にして1,300m、登りは片道50分程度というお手軽コースと信じて登ってみました。もちろん、羆(ひぐま)の出没の危険性も感じつつ。

夕刻から咲き始めると言われる「マツヨイグサ」。見かけたのは16時頃でしたが、綺麗な花を咲かせていた。
小樽市内ではピンク色の「コスモス」をよく見かけるが、鮮やかな赤紫色のコスモスを多く見かけた。
「ニセコノーザンリゾート・アンヌプリ」の入口付近では、手入れされた「マリーゴールド」が宿泊客を迎えてくれる。

 

「ニセコアンヌプリ」ゴンドラ山麓駅。冬場はスキー、スノーボード客で賑わいを見せるが、この時季9時から16時まで、約10分で山頂駅まで我々を運んでくれる。冬場は積雪があり、地上が近く見えるが、雪がないと結構な高さを感じる。
ゴンドラ山頂駅は標高1,000m地点にあることから、ゴンドラを下車してから本格的な登山がスタート。

 
「紅葉」のNISEKOは、皆さんをお待ちしております!!

ところがです。

本格的登山を20年近くもやっていなかった自分にとっては、この標高差308m、1,300mという山道は、想像以上に強烈なものでした。

登山道は本格的な山道。岩がゴロゴロしているし、足場も滑りやすい。山頂まで残り数百mを残したところで、天候が急変し、「危険」な気配を感じて敢え無く登頂を断念。「山を甘くみてはいけない」という鉄則を忘れた単独登山者にとっては、登山の基本を思い起こさせてくれるには十分な体験でした。
 
約20年ぶりの登山の疲れを癒すためには、温泉が一番。

本州のお客さまから「露天風呂も含めて、泉質はよいし、料理も美味しい」と評判の「ホテル ニセコいこいの村」に宿泊。

緑に囲まれた露天風呂に浸かりながら、「来年こそは、山頂まで登ってみよう」と心密かに誓いつつ、束の間の「NISEKO」を満喫したのでした。
 
北海道はこれからが本格的な「紅葉」のシーズン。紅葉、秋の味覚、温泉と、秋の「NISEKO」は皆さんの来訪を心からお待ちしております!!
 

 
 

「ニセコアンヌプリ」の山頂まで残り数百mを残して、敢え無く登頂を断念。
早い樹は色付き始めているが、9月末頃から鮮やかな紅葉が始まり、10月中・下旬頃まで楽しむことができる。
「ホテル ニセコいこいの村」の夕食は、手前の先附に「炙り秋刀魚などの割りポン酢」、その左には「銀鱈の吹き寄せ焼き 栗ポテト 蕗」。奥左手に「秋鮭いこい風味噌鍋 白子添え」、その右には「南瓜の洋風茶碗蒸し」。さらに……。
「道産和牛のステーキ 特製きのこソース」。きのこソースでいただく和牛は、また格別。
「蒸籠蒸し」。留寿都豚、じゃが芋、コーン、蟹シュウマイ、北海縞海老など、素材の美味しさと風味がしっかりと活かされている。

 

【access】
JR小樽駅からバスで2時間弱(札幌駅からは3時間弱)。
小樽・ニセコ間は毎日バスが4往復していることもあり、気軽に「旅」することができるのが魅力。
新千歳空港からも定期観光バスが運行していて、片道約2時間40分。