from 広島 – 11 - 広島・三次ワイナリーへ、ナイトハーベストに参加!

(2010.09.22)

まだまだ残暑が厳しい9月の上旬、日中の暑さが少しだけやわらぐ夜の10時からブドウを収穫するため、広島の県北にある三次ワイナリーを訪れました。

夜のうちにブドウを収穫し、そのまま仕込みに入るナイトハーベストは今年で3回目とのこと。夜間は昼間に比べて少しだけ糖度があがり、また気温が下がるため鮮度を保ったまま、劣化のリスクが少ない状態で仕込みに入れるというメリットがあります。つまり、条件の良い畑で、収量制限をおこない、手塩にかけて育ててきたブドウを、最高の状態のままワインに仕込もうというわけです。
 

棚仕立てのブドウ畑。
たわわに実ったシャルドネ。

三次ワイナリーのスタッフと、地元の有志、そして広島や島根からボランティアでやってきた人たち総勢33名で畑に向かいます。宝石箱のように散りばめられた星空しか見えない、真っ暗なはずのブドウ畑ですが、この日は発電機ライトで照らされ、多くの収穫人たちで賑わう、まるでお祭りの屋台のような雰囲気でした。

長靴をはき軍手とタオルを身にまとい、ヘッドランプを照らしながらハサミを持って収穫開始。たわわに実ったシャルドネを丁寧に選り分け、ハサミで切り落としては箱の中へ入れていきますが……、途中手を休めては「糖度をみるため」と言い訳してのつまみ食い。あま~い果汁が口中に溢れて、疲れも一気に吹き飛ぶほど!今年のシャルドネ、凝縮感が高くていい出来です!

みんなで一斉に収穫開始。
獲れたてのブドウをすぐに仕込み始めます。

棚仕立てのシャルドネですが、ちょうど腰を屈めて首を上に向けての作業となるため、すぐに身体のあちこちが軋み始めます。いやほんと、この体勢はかなりきついですよ~。足場も見えづらいし、湿度もけっこうあってジメジメするし。途中屈伸運動などを行って休憩しながら2時間半、午前1時前にようやく全量の収穫が終わりました。0.23haの畑から収穫されたブドウは約1.95トン、すぐにトラックに積んで、醸造場へと運ばれます。

作業はスピーディーに進められます。

ナイトハーベストの最大の利点は、収穫したばかりのブドウをそのまますぐに仕込むこと。傷みやすいブドウは収穫後放っておくとどんどん劣化してしまいますが、この日は傷み始める間もなく、次々に除梗・破砕機へとブドウが送られていきました。

果粒はそこから圧搾機へと送られますが、圧搾するまえに約一時間のスキンコンタクト。これは、自然に流れ出た果汁に、果皮と種を一定時間接触させることで、ワインにコクと複雑性を持たせる技法なのですが、今年のブドウはかなりいい出来だったので採用したとのこと。ブドウのポテンシャルが低いとえぐみや渋みだけが強調されたりするのですが、今年のブドウならスキンコンタクトを施すことで、もっと素晴らしいワインになる、という判断のようです。

 

濃厚な色合いのブドウジュース。
糖度を測るまなざしは真剣そのもの。

一時間におよぶスキンコンタクトの間は、ワイナリー内部をいろいろと見学させていただきながら、醸造責任者・石田さんからお話をうかがいました。フランスから取寄せた樽とワインとの相性や、発酵温度による香味の変化、ブドウの樹齢と複雑さの関係や、試験栽培中のピノ・ノワールについてなどなど、興味はつきません。

深夜2時半、ようやくスキンコンタクトが終わり、圧搾機が回転を始めました。流れ出てくるブドウジュースの糖度はおよそ22度、濃厚で甘みが強く、芳香に富んだ、トロみのある液体でした。

流れ出たばかりのブドウジュースは甘みたっぷり。

これらのブドウがワインとして市場に出回るのは、早くて2011年の9月以降とか。今はちょうど昨年のナイトハーベスト時に仕込んだワイン、広島三次ワイナリー・TOMOE シャルドネ 新月 2009がリリースされています。国産ワインコンクール2010で銅賞受賞したワインですが、来年のコンクールではもっとうえを狙いたいとのこと!

長い時間をかけてのワイン造りにおいては、収穫というのはほんの一部分に過ぎない工程かもしれませんが、少しでも自分の手を介したワインを飲むというのは、やはり格別なものです。今では日本全国あちこちでワインが造られていますので、お近くのワイナリーにぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

広島三次ワイナリー

ホームページ  http://www.miyoshi-wine.co.jp/