Hanako TRAVEL 特別編 歴史と美食の大分へ - 1 - 大分県南の豊かな自然、古代の石仏、
日本一のふぐを訪ねて。

(2012.10.18)

Hanakoの旅担当・編集Kが今回、旅したのは大分。羽田空港から大分空港まで約1時間半。城下町・佐伯、臼杵の石仏とふぐ、別府温泉、津久見でイルカとのふれあいを訪ねた1泊2日の旅は、南国の太陽と美味しい、楽しい笑顔でいっぱいでした!

大分空港、城下町・佐伯、臼杵石仏、臼杵ふぐ。

国内線のみならず、国際線も増便された羽田空港は、世界と日本各地を結ぶハブ空港(夜間は飛べないから違うけど)の様相を呈しています。

今回は8時5分発のANA大分便に乗るべく空港へ車を走らせていると、突然のにわか雨。ザーッと降って、さっとやんだ空には、今回の旅を祝福するかのように虹が!

「あの虹は大分への架け橋だ!」
ルンルン気分(死語!?)で出発です。

羽田の朝に突然現れた虹。
開放感バツグンの大分空港からスタート!

大分空港は国東半島の南東端にあります。無事着陸して外を見ると、空港の向こうには瀬戸内海の海が広がっています。大分空港は海域を埋め立てて作った空港だったのです。


右・瀬戸内海が迎えてくれる大分空港
左・さっそく大分空港マスコットキャラクター「マーシャルくん」とパチリ!

今回の旅はここからスタート。最初に目指すのは県南の城下町・佐伯。別府湾をぐるっと廻るルートは一見アクセスが悪そうですが、東九州自動車道が完備されているため約1時間半の快適なドライブ。大分や別府の街を山の上から一望できる、風光明媚なハイウェイは走っていて飽きません。

佐伯は1601年に所在毛利高政が城を築き、浜を埋め立てて城下町を建設した土地。石高はわずか2万石ながら、「佐伯の殿様、浦でもつ」と言われるほど、リアス式海岸ならではの漁業の利益で潤っていたという。
明治26年から27年にかけて作家の国木田独歩が下宿した屋敷がそのまま「国木田独歩館」として保存されているなど、大正ロマンの美しい町並みを散策。ぶらぶらと江戸時代の風情が残る船頭町へ。ここでは弁天像が目を引くパワースポット・大日寺を参拝。

若い娘の醜い吹き出物が、弁天様にお願いしたところ一晩にしてきれいに治ったという「菊姫伝説」から、美人になりたい女性に人気のこちらの注目は、本堂の中に安置されている「おもかる地蔵」。30センチほどの石の地蔵さんを膝に抱いて願いを唱えて、最初より軽く感じられたら願いが叶うという。僕も早速願いを……うん? あ、軽いかも!? お願いの中身は秘密です。


左・歴史の街・佐伯ではマンホールの蓋もアート
右・国木田独歩館の2階。昔の家は天井が低い!


左・清々しい境内の大日寺。行者の像が目を引く
右・願いが叶うというおもかる地蔵がこれだ!


左・抱いてみました。お願い100個、かなうかな?
右・街の美人とパチリ!

ブームの塩麹、その火付け役はこの店!

ここ佐伯でのもう一つのキーワードが「塩麹」。世間の塩麹ブームのきっかけとなった店が、元禄以来創業300余年という「糀屋本店」。NHKの『プロフェッショナル ~仕事の流儀』の番組で こうじ屋ウーマンとして特集された糀屋女将・浅利妙峰さんに麹パワーについてお話を聞き、すっかりファンになりました。おみやげでいただいた麹納豆(瓶入り200g 1000円)、美味しかったです!

国木田独歩館
入館料 大人200円 小人100円 月休(月曜が祝日の場合は翌日休館)
大分県佐伯市城下東町9番37号
tel. 0972-22-2866

大日寺
大分県佐伯市船頭町2-37
tel. 0972-22-0420

糀屋本店
営業時間 9:00~17:00 日休
大分県佐伯市船頭町14-29
tel. 0120-166-355
http://www.saikikoujiya.com/


左・歴史を感じる店構えの「糀屋本店」
右・浅利さんの素敵な笑顔と軽妙なトークに、全員引きこまれました!(お前、寝てたやん!←天の声)


左・臼杵の「可児醤油」で見つけた「醤—ス」。革命的な発明か、はてさて……
右・そしてこの街には野村謙二郎広島監督の生家の精肉店があります(^O^)カッセ、カッセ!

国宝・臼杵石仏の歴史ミステリーに浸る!

次に向かったのは今日のハイライト、ふぐと石仏の街・臼杵。まずは国宝「臼杵石仏」を参拝。臼杵石仏とは自然の岩に穿たれた磨崖仏群で、11〜12世紀、平安から鎌倉時代にかけて作られたと推測されている。正確な年代の特定がされていない史跡としては例外的に国宝に指定されている。4つある石仏群の中でも中心的な「古園石仏」は、最高傑作と名高いが、その中尊の大日如来像の仏頭は、かつては地面に落ちていた。賛否両論で町を2分した議論を経て、修復工事により平成5年に仏頭が正しい位置に復位された経緯を持つ。
誰が何を願って作り上げたのか? 中世の祖先の願いに思いを馳せるうち、臼杵の郷に夕陽が沈んで行きました。
 

臼杵石仏
料金 大人(高校生以上)530円 小中学生260円
営業時間 6:00~19:00(10月~3月、~18:00)
大分県臼杵市大字深田804-1
tel. 0972-65-3300 http://sekibutsu.com/


左・「古園石仏」の優しい笑顔に思わず見とれました
右・石仏の周囲は太古の景色を思わせる素朴な里が広がります

まだ定型詩を詠んでいた頃の山頭火も訪れた
日本一のふぐは臼杵にあった!

本日の宿はお宿と料亭を兼ねている「春光園」さんへ。夕食は当然、日本一のほまれも高い臼杵ふぐです。え、夏なのにふぐって、季節外れじゃない? そんな心配は料理を見た途端に吹っ飛びました。
皿の模様が透き通る、しっとりつやつやした天然物のふぐ刺し。薬味とネギでいただけば、じんわりとしたコクと旨みが口中に広がります。
「ひれ酒おねがいします!」
ひれも当然天然。何杯注ぎ酒をしても、いい香りが立ち上る濃厚さ。ああ、幸せっ! 煮こごり、ふぐちり、締めの雑炊と堪能させていただきました。


左・臼杵の街に日が暮れて、おいしい晩御飯が待ってます。
右・なんて美しいふぐ刺し! 酒だ酒だ、ひれ酒持って来いっ!

ふぐちりが煮える間に女将の兒玉多壽子さんとツーショット

そして感動は翌朝にも。胃にやさしいおかゆに添えられていたのは、関アジをヅケにした、りゅうきゅう。油の乗った関アジをちょっと甘目の醤油だれがコートして、コクがあるのにさっぱりしている。お粥と一緒に何杯でもいけてしまいそう。
やさしい女将さん、本当にごちそうさまでした!
(photos / イーニャ)

御宿・料亭 春光園
ふぐコース12600円(要予約) 1泊朝食 12500円~(税・サ別)
営業時間 11:00~20:00(要予約) 不定休


これが関アジのりゅうきゅう、おかゆに合う合う!
まさに理想の旅館の朝ごはん