狗飼恭子のロマンティック・オアフ・ストーリー - 19 - オアフで作り続けた日本の味、
ロコにも人気のアロハ豆腐。

(2011.08.01)

オヒアレフアに約束を(19/31)
 「外国に来てこんなに英語を話さないでいるの、はじめてかも」
 わたしが言うと、
 「日系の人が多いからね。観光地の人だけじゃなく、日本語を話せる人が多いよ」
 と彼は答えた。
 その日彼が連れてきてくれたのは、意外なことにお豆腐屋さんだった。鶴と亀のマークが可愛らしい。
 「ここのお豆腐屋さんは、日系三世の三代目が切り盛りしているんだよ。一代目からの味を守り続けていて、作り方もなるべく変えていないんだってさ」
 ちなみになぜ鶴と亀のマークなのかというと、鶴さんと亀次郎さんが始めたお店だから、なのだそうだ。そんな話もなんだかロマンティックで、わたしもお豆腐屋さんにお嫁入りしたくなった。
 日系らしきおばさんが、大きな鍋を手にできたてのお豆腐を買って帰っていくのが見えた。
 「昭和みたいだね」
 知らないはずなのその光景がなぜだかとても懐かしくって嬉しくなって、思わず彼と手をつないだ。
 父と母がこの島を愛してる理由が、少し分かった。
(恋愛小説家・狗飼恭子)
つづく »
社長の上原ポールさんは3代目。日本に住んでいたこともあるとか。
直売の豆腐を買いにきた日系三世のお母さんは「この豆乳おいしいのよ」と嬉しそうに見せてくれた。


オリジナルの保冷バッグ。これを持って買い出しに来る人も。工場で購入可能。
この日、工場では、絹ごし豆腐を作っていた。大豆の香ばしいいい香りがする。


戦前から日本人が多く移り住んだ歴史を持つハワイには、現在、3世や4世にもなる日系人が多く住み、日本と縁の深い土地としても知られている。移り住んできた日本人はこの土地で事業を興し、日本の国民食の1つとも言うべき豆腐づくりの技術を日本から持ち込んだ。「アロハ豆腐」は1950年に創業。日本人夫婦とその一族がつくりあげた、ハワイでは日系人に限らず知らない人はいないほどのブランドで、もはやオアフの食卓になくてはならない存在だ。オアフでアロハ豆腐を見つけたら、ホテルの部屋に持ち帰り、いただいてみるのもいいかもしれない。日本とハワイの深い歴史に思いを馳せてみよう。

 

■ DATA

アロハ豆腐

961 Akepo Lane Honolulu
Tel.(808)845-2669
水曜、土曜7:30~11:00
それ以外の曜日7:30~16:30

オアフのスーパーには必ず売っている。一番人気は木綿豆腐。他に絹ごし豆腐や油揚げ、納豆も作っている。工場で直接販売も行っており、鍋を持参すれば鍋一杯の汲み上げ豆腐も購入できるとあって、地元の人にも人気。

 

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■ 関連項目

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過去記事『今こそ、オアフ島!!』
オアフ観光局
iPadアプリ「今こそ! オアフ島」

 

Produce&Photographs: Yuji Komatsu
Special Thanks: Ritsue Honma / O’ahu Visitors Bureau