Hanako TRAVEL 特別編 癒しの青森へ - 1 - 美食と大自然と温泉と歴史ロマン。
蕪島、是川縄文館、みろくの滝etc.

(2012.07.30)

Hanakoの旅担当・編集Kが今回目をつけたのは青森。
山海の幸に加えて、秘湯の温泉、新緑の大自然を満喫する、
八戸から奥入瀬、青森と辿った1泊2日の旅は、
まさに青森でしか出合えない宝物でいっぱいでした!

平目漬丼とせんべい汁、美味しすぎっ!

「或るとしのはる、私は、生まれてはじめて本州北端、津軽半島を凡そ三週間ほどかかって一周したのであるが、それは、私の三幾の生涯に於いて、かなり重要な事件の一つであった。……」

7月5日。iPhoneで青空文庫の太宰治『津軽』を読みながら、東京駅から東北新幹線はやてに乗って約3時間。青森県の表玄関・八戸の駅に着きました。

八戸は義経が平泉から逃れて辿り着き、さらに北海道へ渡ったという伝説が残る地。長い歴史に加えて、芝生の浜辺で有名な種差海岸など自然も豊か。
グー……。

生憎の曇り空の下、どこを訪ねようか思案していた私に決意させたのは、朝から何も食べていなかったお腹の音。
「よし、まずは腹ごしらえだ!」
今回、絶対に行きたかったその店は、八戸の港に行列を作る『みなと食堂』。古いのれんとご主人の守正三さんの笑顔が迎えてくれました。

『みなと食堂』青森県八戸市湊町久保45-1 Tel. 0178-35-2295、営業時間:6:00~15:00

お目当ては、平目漬丼とせんべい汁セット(1,300円)。
地元産の平目の刺身を秘伝のタレに漬けること数分。甘みが引き出される絶妙のタイミングで仕上げた平目をごはんの上にたっぷり乗せて卵黄をトッピング。
卵黄を崩して頬張ると、平目の旨みが口の中で炸裂。いくらでも食べられそうな丼です。

せんべい汁は鶏肉や野菜などのあっさりとした出汁に南部せんべいを割り入れて煮込んだ八戸の郷土料理。居酒屋や屋台村など、市内のいたるところでいただけます。おいしくて胃にやさしい、飲んだ時の締めや二日酔いの時には最高の一品です。

贅沢な平目の量に感動! せんべい汁も相性ばっちり!
卵黄をまぶして「いただきまーす!」。平目の甘みがたまりません!
想像を絶するウミネコの大乱舞!

腹ごしらえも終わり、向かったのは『蕪島(かぶしま)』。バスを降りるなり驚かされたのが、耳をつんざくようなウミネコの大合唱。
<一体何が起こっているのか!?>
こんもりとした山になっている蕪島に目をやると、そこには島をうめつくさんばかりのウミネコが乱舞する光景が……。3万羽とも4万羽とも言われるウミネコは、まさにヒッチコックの『鳥』の世界。

ウミネコは2月の終わり頃に島に来て、4月中旬から5月に産卵、6月に孵化、7月に巣立ちを迎え、8月の旧盆の頃に島を去っていくそう。訪れた7月頭はちょうどヒナたちの飛行訓練が始まった頃で、一番大騒ぎになるとか。
参道の階段の上にある蕪島神社では、周回道を3周すると願いが叶うと言われているが、その最中にも足元でウミネコの親鳥が子供たちを守ろうと、人間を以外に鋭い目と鳴き声で威嚇し、ズボンを突っついてくる。

ちなみにウミネコ爆弾(ウミネコの糞)に当たると縁起がよいとされて、神社では会運証明書(開運ではなく、運に会うという意味です)を発行してくれます。毎年約400人の会運な方が誕生しているそうです。

目の前でウミネコを見れて、大集団の飛行ショーは圧巻です。鳥が苦手な人や小さい子供は要注意と思いますが。

『蕪嶋神社』青森県八戸市大字鮫町字鮫56、Tel.0178-34-2730


左・しめ縄を守る!? まるで神の使いのよう。
右・子どもを守る親鳥。こんなに間近で見られる。


左・会運証明書。これを目当てに通い詰める人もいるとか。
右・岩場は飛行ショーのメインステージ!

世界でも稀有な日本の縄文文化を再認識

美食、自然と続いたら、次に注目するのは歴史文化。青森で世界遺産登録を目指す歴史遺産があります。それは、北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群。

縄文文化は今から焼く1万3千年前頃から約1万年続いたと言われる日本独特の文化。世界に先駆けての土器や狩猟道具、芸術的な土偶など、高度に発達した定住文化でありながら、農耕、牧畜を持たずに採集、狩猟、漁労で生活を維持していた、世界でも稀な古代文化だとか。

「是川縄文館」では、国宝・合掌土偶で知られる是川遺跡の出土品が展示されています。

驚くのは木でできた漆器や弓などが、当時の色を残したまま残っていること。学芸員の市川健夫さんによると、地下水を含んだ泥の層に埋まっていたため、腐食することなく保存されたのだとか。

ここでの圧巻は、やはり国宝の合掌土偶。一新に祈るかのような合掌ポーズは、縄文人の精神世界に触れているような、経験な感覚に誘ってくれます。

『是川縄文館』 青森県八戸市大字是川字横山1、Tel0178-96-5392。開館時間:9:00〜17:00(入館16:30まで)、休館日:月(第一月曜、祝日・振替休日の場合は開館)、祝日・振替休日の翌日(土・日・祝日の場合は開館)、12/27-1/4
合掌土偶。その敬虔な姿に古代人の精神世界を思う。
あのアメリカンアイドルが青森の山の中に!?

日本の古代文化に触れた後は、アメリカ文化のあのアイドルに会いに行きます。そのアイドルとは、なんとスヌーピー! 青森には世界一大きいスヌーピーがいるのです。それが、にんにくで有名な田子(たっこ)町の山あいにある「みろくの滝」こと「スヌーピーの滝」。
なぜスヌーピーなのかは、その姿を見れば一目瞭然。「みろくの滝」と言いながら、絶対に弥勒には見えません。誰が見たって巨大なスヌーピーです。ちなみに白く細く流れる水の姿から「そうめんの滝」の異名もあるとか。

みろくの滝 青森県三戸郡田子町夏坂地内
室町時代の伝説が残っている。