from パリ(たなか) – pré 9 - フランス語入門講座ひとまず卒業。

(2009.04.30)

正月から始まった3時間×週2回の授業も3月半ばで終了した。終わってみると途中の辛かったことも忘れ、もっと続けたかった、などと思ったりして。学習の成果はともかく、一回も休まなかったことは自慢できる。そして8人の学生のうち誰一人として途中で脱落せず、最後の授業まで走りきったことも語学学習のクラスとしては珍しいことらしい。

先生の教え方が良かったのか(きっとそうだ、Keiko先生ありがとう)、生徒の学習意欲が高かったのか。払った授業料の分はしっかり教わらなくちゃというケチな考えが、私の皆勤賞の理由ではあるのだが。しかし8人の生徒のチームワークの良さが語学学習の苦しさを楽しみに変える原動力だったような気がする。そこで最後の授業の前に、全員で学内のレストランでランチを楽しもうということになった。このクラスも卒業かと思うと少し寂しいものがある。春は別れと出会い、旅立ちの季節。パリへ行って勉強の成果がどう出るか、多いに不安ではある。

春といえば桜だ。日仏学院校庭の春のアートイベントで、芭蕉の俳句と花のインスタレーション写真パネルが展示された。その中に“おもしろや今年の春も旅の空”の一句を発見。フランス語訳も付いている。Cela me fait sourier, un printemps nouveau, sous le ciel du voyage.

フランス語初心者の私には、プランタンとヌーボー、ヴォヤージュくらいの単語しか理解できないが、たどたどしくも読んでみるとフランス語のリズミカルな韻が心地よい。この句は芭蕉が奥の細道に旅発つ前の作らしい。奥州ならぬ欧州へ旅立とうとしている私の今の気持ちに強く呼応するものがあり、松尾さんをすごく身近に感じたものだ。

2009年の“今年の春”は開花宣言から満開まですごく待たされたが、八分咲きぐらいからは例年以上に花見を楽しむことが出来た。パリに旅立つ前だし、しっかり見ておこうという気持が強かったこともある。俳句といえば、隔月くらいのペースでやっている連句の会で私が花の句を詠む機会があった。普段はさんざん悩んで時間もかかり、結果イマイチの句だったりするのだが、このときはすんなり決まった。
花の雲 巴里の空まで届けかし 塩哉(あんや=私の俳号です、いちおう)

パリの公園にも桜並木はあるらしいが、やっぱり花見は日本の国民的行事。この季節の不安定な天候に一喜一憂しながら、年に一回、美しく咲いた桜の花を愛でる。こればっかりは、やっぱり日本の楽しみだ。花見もすんで、思い残すことなくパリへ行けそうだ。次回のパリから原稿、お楽しみに、行ってきます。

学内にあっても学食ではありません、本格的なレストランです
ランチメニューとはいえ学生らしく(?)ボリュームたっぷり。学生とは思えないおばさん風の客もいて(おじさんがえらそうなこと言えない)、広い店内は満席の盛況だ。授業の前だというのに、白ワインなんか飲んじゃって、いえ、私ではありません
広いテラスにはしだれ桜が2本あって、ここで花の季節にのんびり午後の時間を過ごしたら、さぞや
俳句と前衛生け花はよく似合う。Mangaは今や世界標準だが、Haikuもヨーロッパを中心に楽しむ人が増えているらしい
毎年、満開の週末に花見の場所を決めるのは悩ましい問題だ。千鳥が淵など有名どころは押さえたいし、初めての場所もトライしたいし。私のご近所、大岡山の東工大キャンパス本館前はテラス仕様になっていて、まるで桜の舞台。外国人留学生も楽しそうだった

 

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