from バスク – 3 - ビルバオがみた夢。

(2009.08.17)

スペイン語の挨拶を知らない人でも、「リーガ・エスパニョーラ」という言葉は知っているという人は多いでしょう。フラメンコでもパエリアでもなくて、「スペインといえばサッカーでしょ」という人はこの10年でぐっと増えたと思います。その人気のスペインサッカーの中にもバスク地方のチームはいくつかあり、それぞれがその歴史に名を刻んでいます。その中でも有名なのはアスレチック・ビルバオではないでしょうか。日本の四国とほぼ同じ面積のバスク地方の出身者だけで構成するチームながら、名門と呼ばれている。そのアステチック・ビルバオが、先日のスペイン国王杯の決勝に進み話題を呼びました。相手は日本でも絶大な人気を誇るFCバルセロナ。両チームともこの大会で24回の優勝経験があり、この決勝で勝てば最多の優勝25回を誇れるという試合でした。

街中はパレードみたいに、仮装した人ばかり。
手作りのトロフィーで既に優勝を祝う若い人たち。

試合の日が近づくにつれ、人々の気持ちはどんどん盛り上がる。メディアでは「新型インフルエンザよりも急速に広がる伝染病だ」といわれていました。当日、本拠地のビルバオでは赤と白の旗がたくさんのベランダから下がり、地下鉄もスーパーの店員もユニフォーム姿の人だらけ。ここのところ不調のシーズンばかりだったチームにとって、これだけ大きなタイトルのかかった、しかも絶好調のFCバルセロナが相手という好条件。ファンの夢と期待はもう抑えきれないほどに膨らんでいました。

試合はアスレチックの先制点という展開で、町は揺れ、涙を流して喜ぶ人の姿もありました。が、喜びも束の間、結果は1-4と惨敗。はかない夢は叶いませんでした。

本拠地のビジョンで観戦。失点で頭を抱える人。
試合後の通りでは旗がたくさん振られていた。

しかし、負けてもファンは町を一晩中練り歩き、歌い、浴びるほどお酒を飲んで夜を楽しみました。そう、勝敗よりも、チームがこんなに良い夢を見させてくれたことにファンは一番喜んでいたのかもしれません。準優勝パレードには2万人のファンが集まった様子がテレビでやっていました。そんな関係をファンと築いているチーム、そしてそんなチームを誇りにしているファン。とっても羨ましい。

2部も3部もバスクのチームに動きがあった今シーズン。さて、来シーズンはどのチームが夢を見させてくれるのか、楽しみです。