from ミュンヘン – 1 - ドイツ人が待ち焦がれた野菜の王様を知る。

(2010.06.04)

はじめまして! このたびドイツ・ミュンヘンを中心としたナビを担当させていただくことになりました深田と申します。現在はミュンヘンを拠点に共同PRというPR代理店のドイツ事務所駐在員として欧州-日本の架け橋となるべく欧州各地を奔走しています。旅好きで広範囲に情報のアンテナを張るのは得意なのですが、普段ブログなどを書いているわけでもなく、こういったコラムに慣れていない面もあり拙い文となってしまうかもしれませんが、お付き合いの程よろしくお願いします。

初回のテーマは食べることが大好きなぼくとしては外せない、今が時期の野菜「ホワイトアスパラ」について書いてみようかと思います。

そもそもドイツを含め欧州では、ハウス栽培で一年中同じ野菜が食べられるというシステムがあまり発達していないため、時期の野菜は旬の時期に食べるという習慣がいまだに主流になっています。そのため、食べる野菜の種類が限られていて、スーパーの生鮮食料品のコーナーや町の市場などに行くと、根物も葉物も種類が少ないなと感じるのです。でも個人的には逆にその不便さが「旬」という言葉をひきたてて引きたててくれているのかなという思いもあります。

この時期まさに季節の野菜である「ホワイトアスパラ」はドイツ人が待ち焦がれた食材であり、別名を“野菜の王様(クーニックリッヒ ゲミューゼ/Koenigliches Gemuese)”とも言われ、栄養満点でカロリーは少なく、日本人の口にもあう繊細な味が魅力です。

新鮮なアスパラは擦ったときに「キュッ」という発泡スチロールのような音がします。

ホワイトアスパラのシーズンは5月~6月の2カ月間だけなのですが、時期の始めは、ギリシャ産、スペイン産など海外のものが出回り、その後国産のものが出てきます。ぼくが住んでいるバイエルン州ではSchrobenhausen(シュローベンハウゼン)というミュンヘンから北へ100キロほどいった地域のアスパラが多く出回ります。その街ではアスパラで建ったアスパラ御殿ならぬ、アスパラ博物館があると聞き、見学に行ってきました。歴史や昔の農耕具、特別に作られた皿やトングなどが展示され、この時期だけかもしれませんが、入り口では白アスパラの栽培もされていました。野菜の博物館などあまり聞いたことがないかと思いますが、なかなか充実の内容でした。

アスパラ博物館の正面玄関。
過去に実際に使われていた関連品が展示されています。
展示されていた、大皿から各人が取るためのトング。

ホワイトアスパラはなぜ白いのか・・・? 日本で一般的なグリーンアスパラと違う品種なのか? ぼくも最初は違う品種だと思っていたのですが、アスパラ博物館の方の説明によると、何と両者は同じ品種で、その違いは日差しを浴びたか浴びていないかということでした。ホワイトアスパラは地上に出る前に収穫されるため、変色せず白のまま。これに対し、グリーンアスパラは太陽を存分に浴びて育てられたものだそうです。ホワイトアスパラは地上に出て、太陽に当たってしまうと少し紫色がかってしまい、等級が下がってしまうのです。地上に出る前に収穫し、伸びてしまったのは価値が下がる、まるで日本の竹の子みたいですね。

だだっ広い畑で手作業で収穫されます。
一部で機械も導入されているようです。
採れたばかりで土のついたアスパラ。

この博物館の道の途中でアスパラ畑を見つけたのですが、収穫の作業をしていた彼らはルーマニアからこの時期だけ出稼ぎに来ているということで、太陽の下でもくもくとそして陽気に収穫していました。スーパーや市場以外にもミュンヘンの道路沿いではアスパラ販売所が多く設置され、毎日新鮮なアスパラを販売しています。太さ、色などによって等級分けされ1キロ7ユーロから12ユーロほどと値段も異なります。人気があるのは直径2~3cmほどのもので、値段も太いほうが高いです。収穫が手作業なことと、時期が限られている理由からでしょうか、値段は他の野菜に比べると若干高くなっています。それでも「こんなに買うの?」というくらい豪快に買っていくドイツ人には驚かされます。
 

市場のアスパラの多くは早朝採ったものが売られています。
生ハムとマヨネーズソースを使った一品 意外とあっさりです。
このような小屋で売られるのをよく目にします。
今年だけでぼく5回はここで買ってます。
デパートのアスパラグッズコーナー。

この時期、ドイツ料理のレストランに行くと、料理のメインはホワイトアスパラで、肉や魚は付け合せになっています。食べ方やソースの種類は様々ですが、ぼくの一番のおすすめは茹でたホワイトアスパラに溶かしバターをたっぷりかけて食べるメニューです。溶けたバターが少しに苦味のあるホワイトアスパラと調和し、まろやかな味になります。

このほかにもドイツで全国展開しているデパート『GALERIA Kaufhof(ガレリア・カウフホフ)』、『Karstadt(カールシュタット)』や『Kustermann(クスターマン)』などのキッチン用品店に行くと、ホワイトアスパラを茹でる特別な鍋やトングなどがコーナー売りされており、ドイツ人のこの野菜への熱い思いが伝わってきます。春の時期にドイツにいらっしゃる方は是非レストランでホワイトアスパラをお試しください。

 

ヨーロッパ アスパラ博物館

http://www.schrobenhausen.de/
Europaeisches Spargelmuseum(ヨーロピアニッシュ シュパーゲルミューゼアム)
Am Hofgraben 3 86529 Schrobenhausen
Tel: +49 82 52 900

 

それではこれからミュンヘンやドイツに関する情報を書かせていただきます。みなさまどうぞよろしくお願いします。