田中晃二の道草湘南《犬の鼻、猫の舌》
根津美術館・特別展『燕子花図と藤花図』5/18(日)まで開催中。光琳の燕子花と応挙の藤花を、
東京青山で堪能する。
(2014.04.25)
光琳、応挙 美を競う
今年の東京の桜は満開になる頃から花冷えの日が続いたせいか、長く楽しむことが出来てラッキーと、なんだか得した気分の春だった。せわしない花見も終わると一気に新緑、街の風景は初夏モードに切り替わる。この美しい季節に呼応するように、燕子花(カキツバタ)と藤の花の屏風絵が見られるというので、友人に誘われて南青山の根津美術館へ出かけた。
屏風絵は江戸時代の3Dだ
尾形光琳の『燕子花図屏風』は、子どもの頃の教科書や美術書などで、もう何度見たことだろう。図柄や色彩を記憶するほどにアタマの中に入っていたのだが、今回初めて実物の屏風を見て、驚いた。
記憶の絵は屏風を平面に延ばした状態の写真で、抽象化された花のパターンが楽譜の音符のように上下に変化する構図が心地よかった。
いま、折り曲げて立てた状態の屏風を正面から見ると、山折りと谷折りの面で絵が屈折したように遠近法が強調され、不思議な立体感で眼前に迫る。さらに斜めから見ると隠れて見えない面もあって、全く違った図柄になり、記憶の絵とは別物だ。いろんな角度から眺めると千変万化、見飽きない。
屏風絵のマジック? 同時に展示された「伊年」印(俵屋宗達工房)の『四季草花図屏風』も、谷折りの部分に描かれた草花がまるでブーケのようにアレンジされ、屏風の折りの3D効果を計算したかのようで興味深かった。
印象派の先駆け
都会の中の森
特別展『燕子花図と藤花図』 光琳、応挙 美を競う
2014年4月19日〜5月18日(日)
会場:根津美術館 東京都港区南青山6−5−1 Tel. 03-3400-2356
開館時間 10:00〜17:00(最終入館16:30)
夜間開館 5月13日(火)〜18日(日)〜19:00(最終入館は18:30)
休館日 月曜日〈5月5日(月・祝)は開館〉
入館料 一般1,200円 学生 1,000円
NEZUCAFE
美術館庭園内 営業は午前10時〜午後5時
『燕子花図と藤花図』開催期間中に限定メニュー「パフェ・アイリス」あり
*展示室の写真は許可を得て、開館時間外に撮影しています。