from 鳥取 – 34 - 目指せ! 世界ジオパーク。山陰海岸ジオパーク国内候補地決定。

(2009.11.10)

10月28日、鳥取県庁6階では歓喜の声が上がりました!
それは日本ジオパーク委員会より、鳥取・兵庫・京都の日本海側をまたがる山陰海岸ジオパークが、世界ジオパークネットワークへの申請候補地に決まった!という、うれしい一報が届いたからです。同日行われた選考委員会では、山陰海岸ジオパークを含む3地域が審査され、唯一候補地として選ばれました。

そもそもジオパークとは何ぞや?と思う方も少なくないでしょう。ジオパークとは、貴重な地質遺産を複数含む一種の自然公園のことで、それらを保護し研究に活用するとともに、ジオツーリズムなどを通じ教育や地域の振興に活用します。2004年、ユネスコの支援により世界ジオパークネットワークが設立され、ヨーロッパを中心に現在19ヶ国64カ所が加盟しています。

日本からは今年8月、洞爺湖有珠山・糸魚川・島原半島の3地域が国内で初めて選ばれました。
世界ジオパークネットワーク(GGN)に加盟するには、「1、国内候補地に選ばれる」→「2、GGNへ申請」→「3、審査(書類審査、現地審査)」といった過程を経ます。

山陰海岸は昨年、日本ジオパークに選ばれたものの、世界へは「1」の段階で落選。学術的な整理が不十分であるなど多くの課題が示され、再チャレンジのため官民一体となり熱心に取り組んできました。このたびはその課題を乗り越えた結果ということで、喜びもひとしおなわけです。

ここからは、山陰海岸ジオパークについてちょっとだけご紹介します。山陰海岸には、アジア大陸から日本列島が分かれて誕生した、つまり日本海が形成された歴史が地質で確認できるポイントがたくさんあります。

こちらは鳥取県を代表する観光地、鳥取砂丘の一角でみられる光景。砂丘の断面が見られる露頭です。写真のほぼ中央に見える茶褐色の部分は火山灰で、過去に大きな火山噴火があったことがわかります。この火山灰層の上が「新砂丘」、下が「古砂丘」と呼ばれています。砂の中に地球の歴史がきざまれているのがわかりますね。

右写真は鳥取県東部・岩美町の浦富海岸の一風景。中央にあるのは「千貫松島(せんがんまつしま)」と呼ばれ、江戸時代、鳥取藩主の池田公が、この辺りを船で島巡りをしたとき、「この岩つきの松を、わが庭に植えたものには銀千貫を呈す」と言ったことから、こう名づけられました。もとは左の岩とひとつながりだったものが、波により侵食され今の状態に。この間、どれだけの歳月がかかったのかと思うと、気が遠くなるようです。

他にも周辺では洞門や奇岩などを多く見ることができ、これらの景色を楽しむウォーキング大会やジオツアーも開催されています(随時)。

実は私、実家が山陰海岸ジオパークのすぐ近くにあるのですが、その海の透明度、美しさといったら何と表現すればよいのやら…。こんなきれいな海の近くで育ったということは一生誇れることだと、実家を離れた今、改めて思います。この美しい景色・自然がいつまでも保たれるためにも、ぜひ世界ジオパークネットワーク加盟が実現することを願うばかりです。

※世界加盟へ向けての今後の予定は、12月1日までに世界ジオパークネットワーク事務局に申請書を提出し、2010年度以降の同委員会で加盟の可否が決定されます。

 

【関連リンク】

山陰海岸ジオパークHP
山陰海岸ジオパーク推進協議会について