from 山梨 – 2 - 山梨のイメージと清里高原。

(2009.09.16)
山梨のイメージツートップのうちのひとつ「富士山」

山梨で暮らすようになる以前に私が山梨に対して抱いていたイメージは、「富士山」「富士五湖」「石和温泉」「信玄餅」「社員旅行」「夏の暑さは日本一レベル、冬は極寒の盆地」「海がない」というくらいのもの。

山梨への引っ越しが決まった時、あるいは引っ越して来た当初、「山梨ってどんなとこだっけ?」と尋ねてくる友人・知人に、当時の私が知りうる限りの「山梨ワード」をぶつけ続けた結果、主に関東~北陸地方にお住まいの方々が山梨に対して抱いているイメージツートップは「富士山」と「信玄餅」だということが判明しました。

 
「山梨ってどんなとこだっけ?」
「富士山と信玄餅」
「あーはいはい、富士山と信玄餅ねー。あと、ほうとうなんてのもあるよね。かぼちゃのほうとう。あれ、山梨だったよね」

「山梨ってどんなとこだっけ?」
「富士山と信玄餅」
「あーはいはい、富士山と信玄餅ねー。あれ? サッカーのヴァンフォーレって山梨じゃなかったっけ」

という感じ。

そんなレベルからスタートした山梨生活も3年目となり、「夏の暑さは日本一レベル、冬は極寒の盆地」のおかげで「おいしい果物」や「おいしいワイン」を楽しむことができるし、「海がない」けど「富士山」「八ヶ岳」「南アルプス」「清里」などたくさんの山々や高原を楽しむことができるではないかということを実感している今日この頃。
かつてのガッカリ系イメージは、実は山梨を楽しむポイントだったのですね。

とはいっても、これまで海に潜る習慣はあっても山に登る習慣のなかった私にとって、「高原」ですら未知との遭遇。
そもそも、「海には潜るとか泳ぐとかの目的があって、山には登山やトレッキングなんて目的があるけど、高原って何しに行くところなんだろ?」と思っていた。
ラグビーやテニスといった、体育会系の合宿くらいしか思いつかない。
山梨に引っ越して来た時に買った「るるぶ山梨」には「清里」というページがあり、清里と言えばずいぶん前にブームになっていたこともあって、私でさえもその名前は知っている。

なるほど、清里というのは高原なのか。
山梨にあるなら、一度行ってみないといけないな。
うちから車で1時間程のようだし、よし、清里というところへ行ってみるか。

と、こんな流れで清里高原へ行くことを決め、今度は目的意識を持って「るるぶ山梨」を眺めてみると、「ここが清里高原です!」というポイントがあるのではなく、「ここら辺一帯が清里高原なんですよー」な雰囲気。
例えば海には「○○海水浴場」だの「○○浜」だの「○○港」があり、山には「○○山山頂」がある。
でも、高原にはそういうのがない。
広い範囲に、なんかいろいろある。
どこに碇を下ろせばいいのか的な意味合いで、どこへ行けばいいのか悩む。
「るるぶ山梨」上で迷子になってしまった。
うーん、高原……高原……高原と言えば……牧場?
この答えが正しいのか正しくないのかわからないけど、初の清里高原、まずは「まきば公園」というところに行ってみることにしたのです。

今、「まきば公園」の写真を探していて思ったのは、「高原」の写真も難しいけど、同じように「牧場」の写真も難しいな、という事。
この「まきば公園」というのは、山梨県立「八ヶ岳牧場」の一部を公園として開放しているものなので、「まきば公園」の周辺も牧場なのですね。
とにかく広くて、辺り一面が「高原」で「牧場」。
「高原」や「牧場」の全体像がひとめでわかるような写真はないので、あちらでポニーが草を食み、こちらでヒツジが子供たちと戯れ、奥のほうでは牛も草を食んで、トンボがひと休み、なんていう写真を載せてみる。

草を食むポニー。
戯れるヒツジ。
草を食む牛。

公園内を隅から隅まで歩き尽そうと思ったら結構な距離だけど、アスファルトの上を目的地に向って時計を見ながら歩くのと違って、砂利道や草の上を、周囲の山々やのんびり過ごしている動物たちを眺めつつぶらぶらと歩き、時にトンボを追いかけてみたりするのはなんとも気持ちが良い。

トンボを捕まえるのって、難しいのね。

そしてそんな風に過ごしていると、時計を見なくても自然とお腹が空いてくる。
空腹に任せて公園内にある「まきばレストラン」へ行き、山梨県産の野菜やお肉を使ったたくさんのメニューの中から、フリーダムな気分にぴったりの、どうやって食べればいいのかわからない「清里ジャンボバーガー」を注文。

レタスバーガー?

「清里ジャンボバーガー」に使われている地元産食材は、たっぷりの高原レタスに高原トマト、富士桜ポークのハムとベーコン、そして、富士桜ポークと甲州ワインビーフを使ったハンバーグ。
目の前に運ばれてきた実物を見て、押しつぶせばどうにかなるというレベルをはるかに超えたボリュームを実感。
もうこれはお皿に倒して、ナイフとフォーク、時に手づかみ。
美味しかった。
実に美味しかった。

清里って、牧場って、高原っていいところじゃないの。

というのが去年の夏のお話。
「高原って何しに行くところなんだろ?」という疑問は「高原に行くこと、高原で過ごすことが目的」という答えで解消し、同時に心理距離が一気に縮まった清里へは、その後頻繁に足を運ぶようになりました。

美し森山の中腹から望む、清里高原ホテル。

夏や秋の紅葉シーズンには賑やかになる清里高原も、今の時期は静かです。
そして、紅葉シーズンを終えると再び静かになり、冬には牧場が閉鎖されます。

秋の「まきば公園」
冬の「まきば公園」

空気が澄み、空の青さが一段と濃くなる冬は、お天気が良ければ八ヶ岳南麓の「まきば公園」からでもきれいな富士山を見ることができます。
山梨県といえば「富士山」ではあるけれど、気温の高い時期には甲府盆地からですら富士山が霞んで見えないなんていう日が、実は結構あるのです。

冬の「まきば公園」から望む富士山。

上手い具合に冒頭の「富士山」に戻ってきたので、もうひとつのイメージ「信玄餅」のことも書いてみよう。
包んであるビニールの風呂敷にはきな粉だけをあけるのか、お餅もあけてしまうのか、また黒蜜は風呂敷の上に出すのか出さないのかなど、その食し方に個人差の大きい「信玄餅」を、ちょっとアレンジ。

山梨のもうひとつのイメージ「信玄餅」と「信玄餅アイス」

ひとつのお餅を4つくらいにカットして、切り口にもきな粉(付属)をまぶした「信玄餅」を、きな粉とともにバニラアイスクリームの上にのせ、黒蜜(付属)をかけた「信玄餅アイス」。
お餅のカットは、もちろんビニールの風呂敷の上で。