from ヘルシンキ - 17 -  「今日が悪くても、明日は良くなる。」by Linnea

(2011.02.04)

「フィンランド女性に学ぶ 幸せ力」
File.16 Linnea(69歳)

ヘルシンキはまだまだ長い冬の途中で、
雪景色が続いていますが、
徐々に日がのびて、
少しずつではありますが
春の訪れへの期待が高まっています。
今回のリポートは、仕事をリタイヤし、
元夫や孫との時間を楽しみながら、
新たな趣味や言語の習得に挑戦している
Linneaさんの物語です。

 

■History:仕事と家族。

幼い頃に戦争を経験、妹のひとりを戦時中に亡くしました。混乱から逃れるために、
一時的にスウェーデンで暮らしたこともあります。
戦後フィンランドに戻ってきてからは、言語の切り替えで苦労しました。
生まれて初めての仕事は、14歳のときに経験した材木会社の集金業務。
その後、大学に入学してからは言語を学びました。
フィンランドの公用語であるフィンランド語、スウェーデン語以外では、
英語、ドイツ語、フランス語、ロシア語を話せます。
語学が好きだったので、通訳のアシスタントになりました。

働き始めて1年後に、フランス人男性と出会い結婚、息子を出産。
当時は、現在のように充実した子育て支援制度はなかったので、
ベビーシッターの力を借りながら、子育てと仕事を何とか両立しました。
フランス人の夫はとても芸術的で、ポエムを書いたり、絵を描いたりしてくれて、
それまでに出会ったシャイなフィンランド人男性たちとは違う魅力がありました。
しかしながら、息子が6歳になったときに離婚……。
それからは、妹家族や両親の力を借りながら、息子を育てました。
といっても、元夫は家に洗濯機を借りに来たりして出入りしていましたし、
離婚してからも連絡は取り合っています。
今では、週に1回孫たちと一緒に会い、そのときには元夫が食事を作ってくれます。
息子や孫との関係の中で、元夫とは良き友人になることができました。

ヘルシンキの年越しの様子。

 

■Turning Point:結婚、出産、そしてリタイヤしたとき。

結婚したとき、息子が生まれたとき、そしてリタイヤしたときは大きな転換期でした。
リタイヤしてからは、スペイン語の勉強と週3回の運動(ヨガやストレッチの教室通い)
を楽しんでいます。
再婚はしませんでしたが、ひとり旅をしたり、興味のあることを学ぶ時間を
楽しんでいます。

 

■Happiness:幸せと感じるかどうかは、考え方次第。

幸せであるためには、私も家族も健康であることが大前提だと思います。
でも、幸せと感じるかどうかは、考え方次第とも思います。
最近は、朝気持ちよく起きられて、ゆっくり新聞を読んでいるとき、
とても幸せだと感じます。

Linneaさんは自然のそばで過ごす時間も大切にしています。
冬の間はいつもテーブルの上にはキャンドルを。

 

■Dream For Next 10 years:みんなにとって良い10年になりますように。

旅をしておもしろい人たちに出会いたいです。
孫が元気に成長してくれることを願います。
そして、戦争のない平和な社会、みんなにとって良い10年になりますように。

 

■Message:今日が悪くても、明日は良くなる。

好きな言葉はラテン語の“Carpe diem(今この瞬間を楽しむ、という意味)”。
今日が悪くても、明日は良くなる、そう信じて毎日を楽しみたいと思います。

 

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■取材後記

Linneaさんとは、カルチャーセンターのスペイン語会話のクラスで知り合いました。
60歳を過ぎてから学び始めたそうですが、メキシコ人の先生にスペイン語で熱心に
質問を投げかける姿に、いつも驚かされます。
覚えたスペイン語を使って「南米を旅したい」と目を輝かせながら語るLinneaさん。
“Carpe diem”の精神が息づいていました。

旅先で撮ったフィンランドの雪景色。

 

※この内容は、2010年取材当時の情報です。