from バスク – 2 - バスクでサーフィン。

(2009.08.06)

実はヨーロッパのサーフィンの発祥はバスク地方だといわれています。1957年にフランスバスクのビアリッツに来たアメリカ人がサーフィンをしている姿をみて、現地の人々が真似をしたのが始まり。その後、サン・セバスティアンに伝わったのが7年後の1964年。それからもカンタブリア海沿いの町々にサーフィンは伝わっていきました。特にサーフスポットとして有名なバスクの町は、北からビアリッツ、サン・セバスティアン、Zarauz(サラウス)、そしてMundaca(ムンダカ)など。旅行では行かないような町の名前もありますが、サーファーの間では有名なポイントのようです。

参加しているサーフコースを開いているサーフショップ。
一番サーファーの多いZuriola(スリオラ)ビーチ。

ぼくが留学をしているサン・セバスティアンではたくさんのサーファーの姿を目にします。サーフボードを抱えて海に向かう人、サーフボードを抱えて自転車に乗る人、アスファルトの上には濡れた足跡。大学の外国人語学コースには、サーフィン目的でこの町へやってきた留学生が何人もいました。しかも大学の体育のコースに、「サーフィンコース」もあります。夏に近づくにつれて、ワゴンでサーフトリップにやってくる人も徐々に街中で多くみかけるようになり、今では海岸沿いに停まっているたくさんのワゴンからサーファーが小走りで海へ向かう姿をよく見かけます。彼らはスペイン国内だけではなく、フランス、ポルトガル、イギリス、ドイツなど各地からやってきます。サン・セバスティアンではいくつかの大会が開かれ、ちょうど先週末にジュニア選手権が開かれました。他にもローカルの大会がいくつか開かれます。また、ムンダカでは世界大会が開催されるので、どれほど波が良いかというのが想像できるでしょう。

映画祭の行われるKursaal(クルサール)前でサーファー発見。
サーフボードを売るだけじゃなくて、レンタルもしている。

サン・セバスティアンでは、様々なスポーツのサマーコースが開かれていて、市が料金の一部を負担してくれるサマーコースがたくさんあります。水泳、インラインスケート、パラグライダー、カヌーなどなど。その中にはもちろんサーフィンも。また、いろんなサーフショップも同様にサーフスクールを開設。インストラクターの後をぞろぞろと、まるで合鴨の親子のように列を成してビーチに向かっている生徒たちの姿があちこちで見られます。そして、その列にぼくも2週間参加してきました。生徒は地元の人も外国人も、若い人も、「若い」と呼ばれたい人もまぜこぜ。スペイン語の分からない生徒には英語で指導するインストラクターもいるけれど、英語力は日本人とあまり変わらない程度なので、かなり苦労しているインストラクターもいるようです。インストラクターは若い人や30代くらいの人、ガッチリとした体型の人や小柄な人などさまざま。聞いてみると、それぞれ本職は会社員や学生や水球のコーチなどをしていて、サーフィンのインストラクターは夏の間だけやっているとのこと。ぼくのインストラクターの本業は体育教師ということもあって、確かに教え方は先生っぽくもあったけど、サーフィンの出来る体育の先生なんてカッコイイなぁと思いました。サーフィンは思っていた以上に難しく、最初の1週間は、毎日「ここが筋肉痛だよ」とお互いに報告しあっている内に終わりました。その後の1週間では、ボードに立つタイミングやコツを徐々に身につけたり、波の読み方を学びました。そして今はボードをレンタルして、コースのクラスメートとたまに海に入って楽しんでいます。サーファーのいる風景を今までは見る側だけだったけれど、今では自分もサーフボードを抱えてその風景の一部になっています。いい気分! 新たなバスクの魅力に取り付かれた1人になってしまったようです。