from 北海道(道央) – 1 - 夏の北海道に「新たな文化」の息吹が!

(2009.08.05)

小樽に本格的な能舞台が!

こんにちは! 皆さん、北海道の小樽に「能楽堂」が存在することはご存知でしたでしょうか?
「小樽市能楽堂」は、佐渡出身の豪商・岡崎謙(おかざき・けん)氏(1877~1954年)が大正15年に小樽市内の邸内に建築した能舞台で、格式の高さでは国立能楽堂を凌ぐとも言われており、東北以北では唯一の本格的能舞台なのです。

格式の高さでは国立能楽堂を凌ぐとも言われいる小樽市能楽堂。

『おたる遊幻夜会(ゆうげんやかい)』の開催。

この「小樽市能楽堂」で、小樽出身の美人女性作家・蜂谷涼(はちや・りょう)さん原作の『遠き橋懸り』(『別冊文藝春秋』2009年1月号掲載)を、8月14日(金)から16日(日)までの3日間、『おたる遊幻夜会(ゆうげんやかい)Vol. 1』として舞台上演するものです。 

実は、この「小樽市能楽堂」。小樽の歴史的遺産、北海道にとっても宝とも言える存在でありながら、小樽市民であってもその存在自体を忘れ去っていたという悲しい状況にあったのです。
その能楽堂に国内外の多くの方々に親しんでいただく機会を作るとともに、能楽堂の保存活動と有効活用の一助となればとの思いを持った地元の有志が「実行委員会」を組織し、日頃「能」に接した機会のない方であっても充分に楽しんでいただけるよう工夫を凝らし、風雅なお芝居と北海道が誇る音楽家たちの演奏とのコラボレーションとしてお届けするものです。

このような趣旨から、収益金については能楽堂の保存活動の一助になればということで、全額小樽市に寄付させていただくという非営利の文化活動でもあります。私自身、この実行委員会をサポートする「企画協力」という立場で、この企画にかかわらせていただいております。

 
豪華スタッフが小樽市能楽堂に集結!

舞台は、俳優の伊藤哲也(いとう・てつや)さんが一人で何人もの役を演じ、それを札幌交響楽団の木管楽器とフルートのメンバーがコラボレーションするという、世界初と形容される「能楽堂」でのイベントです。

伊藤哲也さんは北海道に生まれ、映画では、黒澤明監督の『乱』『夢』、伊丹十三監督の『マルサの女』『ミンボーの女』などに出演。また、舞台では、蜷川幸雄監督の『オイディプス王』『ハムレット』など、数多くの舞台に出演しているほか、薩摩琵琶を吉田央舟氏に師事し、琵琶法師として「耳なし方一」を全国各地で演じられている俳優さんです。

柔らかな口調の中にも信念をお持ちの方であり、一度一緒にお酒を飲みながら語り合えば、途端に彼の魅力に引き寄せられるという素晴らしい方です。

また、札幌交響楽団からは、ファゴットの坂口聡(さかぐち・さとる)、クラリネットの三瓶佳紀(みかめ・よしのり)、オーボエの宮城完爾(みやぎ・かんじ)、フルートの高橋聖純(たかはし・せいじゅん)という精鋭が参加。

ファゴット、クラリネット、オーボエという木管楽器を担当する3人は2004年に『Les Roseaux(レ・ロゾー、葦(あし))』というアルバムを、TRIO D’ANCHES DE SAPPOROというユニットで制作、発売しています。その木管楽器のユニットに、国際的な評価の高いフルートの高橋聖純氏が加わり、極めてクオリティの高い演奏を奏でてくれることになりました。

演出を担当されるのは、十島英明(としま・えいめい)先生。山本周五郎先生が原作を手がけられた作品を、英語劇で演出し、エジンバラ演劇祭に参加されるなど、国内外で幅広く活躍されていることは、周知の事実。一度お会いして名刺をお渡ししたところ、その後お会いしても自分の名前をしっかりと記憶していらっしゃられ、その記憶力の素晴らしさとユニークさには魅了されるばかり。

8月14日(金)から16日(日)までの3日間、『おたる遊幻夜会(ゆうげんやかい)Vol. 1』を開催します
内容は「和のオペラ」と称するに相応しいもの。
演出を担当されるのは、十島英明(としま・えいめい)先生。

 
リハーサルを観て想う。

そのメンバーが小樽市能楽堂でリハーサルを行ったのは、今年の6月7日と8日。6月7日に行われたリハーサルを観劇させていただいたのだが、「和のオペラ」と称するに相応しいものでした。自分自身、東京のBUNKAMURAでオペラを過去に数回観ていますが、先ほども表現したように、「世界初の能楽堂で上演される和のオペラ」と言っても過言ではありません。その日、メンバーが揃って初めてリハーサルを行ったにもかかわらず、初めて合わせるとは思えない、絶妙のコラボレーションにはただただ圧巻されるばかり! 一緒に観劇した実行委員御夫婦は、舞台を観ていて感涙しているではありませんか!!

このように素晴らしい『おたる遊幻夜会 Vol. 1』。
前売券は1枚3,000円で、ローソンチケットにて全国どこからでも入手可能です(Lコード:18043)。『おたる遊幻夜会』は、小樽の新しい夏の風物詩にふさわしいイベントとして、毎年新作を発表する予定です。残念ながら今回観劇することができなくても、来年以降、夏は小樽で美味しい料理に舌鼓を打ちながら(私が通っている小樽のお店情報については、今後ご紹介させていただきます)、この新しいイベントを楽しまれることを、小樽市民の一人として心からお待ちしております!!