from 北海道(道央) – 19 - 「ふらのワイン」工場見学の特色に迫る。

(2009.12.28)
とてもお洒落な雰囲気の「ふらのワイン」さんの正面入口。
今回はちょうど冬の始まりに足を運んだのですが、四季折々に素晴らしい光景が楽しめます。

富良野市直営研究所としてスタート。

全国的に見ても、地方公共団体自らが「ワイン」造りを行っているということは珍しい。

北海道富良野市。1972(昭和47)年に「富良野市ぶどう果樹研究所」は、富良野市直営の研究所として設置されました。

前回富良野のホテルについてご紹介させていただいたところですが、その富良野にもワイナリーは存在するのです。

実際には、1974(昭和49)年に葡萄の植栽、栽培試験がスタートし、その翌年、富良野市で開催された国体に「試作ワイン」を提供したそうです。その後、「ふらのワイン」としてのワイン販売は、1978(昭和54)年からとのことで、葡萄の植栽から5年を経過したときからであり、ワイン用葡萄の生育には時間がかかることを改めて知ることができます。

「羆(ひぐま)の晩酌」のディスプレー。1985(昭和60)年に富良野で誕生した山葡萄品種である「ふらの2号」とドイツ系品種である「ツバイゲルトレーベ」を使用して、オーク樽熟成した赤ワイン。エチケットの可愛らしさと相まって、全国的に評判が高い「ふらのワイン」を代表する一本です。
ワインに関する知識も豊富で、実直な性格の富良野市ぶどう果樹研究所・亀渕雅彦(かめぶち・まさひこ)業務係長さん。
葡萄畑の様子、葡萄の生長の過程などが、入って直ぐの場所に展示されています。

北海道におけるワインツーリズムの動向。

さて、今年スタートした「北海道ワインツーリズム」推進協議会ですが、今年はワイナリーが集中している空知(そらち)・石狩地方を主体としたツアーを実施し、モニターツアーを含めて7回のツアーで延べ209人が北海道らしいワイナリー巡りを楽しまれました。

この動きは他の団体や旅行会社の企画にも影響を及ぼし、JTBでは「JTBたっぷり富良野・美瑛と旭山動物園」と題する新千歳空港からスタートするオプショナルツアーを発売し、今年5月から9月までの間、このツアーを通じて「ふらのワイン」さんには1,300人を超える道外の皆さんが足を運ばれたそうです。

確かに、空知管内のワイナリーツアーにおいては、葡萄の生育状況を確認しながら、ワイナリーでのんびりピクニック気分を味わうという形が主流でしたが、「ふらのワイン」さんでは葡萄の収穫後の熟成過程を見ることができ、瓶詰めまでの工程を学ぶことができることから、ワインの製造工程を含めた知識を吸収したいという方にはうってつけのツアーとなりそうです。

こうしたツアーの組み合わせなど、来年以降も、「北海道ワインツーリズム」推進協議会の動向には目が離せません。

「北海道ワインツーリズム」推進協議会

1975(昭和50)年に富良野で開かれた国体スキー大会に、「試作品」を提供。3本残っていました。飲んでみたい(笑)。
ワイン樽に置かれた試飲用のボトルの数々。
「売店」には、ここでしか購入することのできない商品が沢山揃っています。
富良野盆地の光景を見ながらワインの試飲。誰か運転してくれる人を探すよりも、「北海道ワインツーリズム」で足を運べるとよいですね。

「ふらのワイン」さんで学べること。

収穫後、選果、除梗(じょこう)・破砕、(圧搾)、発酵、圧搾、MLF(マロラクティック発酵)、樽またはタンク熟成、滓引き、清澄、・濾過、瓶熟成というワイン醸造の流れの中で、樽熟成、タンク熟成、瓶熟成の状況を確認することができるのが、「ふらのワイン」さんの工場見学の特色です。

「樽熟成用の樽は、フランスとアメリカどちらのものを使われているのですか?」とお聞きしたところ、富良野市ぶどう果樹研究所・亀渕雅彦(かめぶち・まさひこ)業務係長さんは「フレンチオークを使用しています」と、フレンチオークとアメリカオークとの違いを含めて、丁寧にお答えくださいました。

「6月下旬から8月上旬にかけては、工場敷地内で咲き乱れるラベンダーも楽しむことができるのですよ」とのこと。素晴らしい景観を楽しみながら、ワインの試飲もできるのでしょう。

1975(昭和50)年に富良野で開かれた国体スキー大会に、「試作品」を提供。3本残っていました。飲んでみたい(笑)。
ワイン出荷前の最終段階である「瓶熟成」の工程を見学することができます。
フレンチオークによる樽熟成の状況。アメリカンオークと比べると、相場は約2倍の値段。しかし、フレンチオークを使用する理由は、工場見学時に確認してみてください。
2階からは、瓶詰め後のエチケット・ラベリングまでの工程を見学することができますが、実際に作業が行われている期間は限られていますので、事前にご確認ください。
「北海道ふらのワイン生キャラメル」。こちらも北海道土産として人気の商品です。

今年1年、お付き合いいただきありがとうございました!!

早いもので、今年も残すところあと数日。本当に一年は早いですね。

ひょんなことから『WEB ダカーポ』さんのエリアナビゲーターとして、北海道(道央)の魅力を世界に向けて発信する機会を持たせていただきましたが、皆さんの参考になったでしょうか?

来年も引き続き、こちらの紙面で皆さんとお会いできますことを、心から楽しみにしております。ご家族の皆さまも含めまして、よいお年をお迎えくださいませ!!