from 北京 – 7 - 酔いどれ広報マン、飲茶を食す。

(2008.12.02)

世に言う「駐在員」の仕事の一つは、渡航者の「アテンド」だと良く言われます。ご他聞に漏れず、ヒヨッコ駐在員のこの私も、ここ数ヶ月は相次ぐクライアントやスタッフの訪中、はたまた休暇を取って友人が遊びに来てくれたりと、相次ぐ訪中者を受け入れ、まさに「アテンド」しまくりでした。

北京に来る人に「何したい?」といろいろリクエストを聞くと、まず挙がるのは「北京ダック食べたい!」(だろね、だろね、そーだろね)そんでもって「天安門見たい!」(わかるわかる、俺もそーだった)その次くらいに言われるのが、実は「飲茶(点心)食べたーい」という声(……なんで!?)日本人が言ういわゆる「飲茶」ってのは、こちらで「広東早茶」とも呼ばれる、もともとは広州や香港の方のスタイルのことで、北京とは遠くかけ離れてるんです。まあ、北京まで来てリクエストするくらいですから、それだけ中華料理の一つのスタイルとして日本人の頭の中にインプットされてるってコトなんでしょうね。……ってなことで、今回は「北京で飲茶を食べるなら」個人的ベストレストランをご紹介します。

その店は北京の銀座とも言えるメインストリート「王府井」近く、金宝街の「金宝大厦」に入っている『利苑 』。この店はまさに飲茶の本場、香港の店なのですが、土日の昼は予約が無いと入れないほどの人気を誇っています。私はあまり「予約を取って食べに行く」派というより「当日食べたいものを食べに行く」派なので、このお店には何度かフラれた経験があり、悔しい思いを何度もしています。(予約しろよ、という批判は受け付けません。笑)

今回は機転を利かせて、1回転目が終了するであろう1時半過ぎにお店に突撃してみました。(注意! 飲茶は基本、ランチ時間しか提供しない店が多いです!!)そしたら見事、目の前で空き席が。素晴らしい!! お店は落ち着きがありながらも華やかな調度品で彩られ、赤を基調としたランプシェードが目を引くモダンな店内。客層はかなり華やか系、富裕臭、もとい富裕者オーラが漂ってます。(私が場違い!?)鉛筆で欲しいものにチェックするオーダー方式でメニューと格闘し、待つこと数分。やってきました、魅力的な品々が。

お店は「金宝大厦」の三階。エレベータを出るとそこはもう、香港!?

シックで落ち着いた店内。服務員(給仕)のサービスもばっちり。

注文は気に入ったものに自分でチェックする、香港スタイル。

スープたっぷりの「小龍包」。本当に美味しい、ビビった。

「蟹粉小龍包」普通の小龍包よりも一回り大きい。一口でほおばれば・・・あとはご想像におまかせ。

エビ入り「腸粉」伝統的な飲茶の一品です。

山芋のすりおろしたものでキノコの餡を団子状にして揚げたもの。サックリ、ねっとりの二重奏。

ゴーヤのパンケーキ。カリッ、もちっ、でビールに合うんだなこれが。

定番「大根餅」ココんちのは分厚くて柔らかく、甘い。「焼き」ではなく「蒸し」です。

「春巻き」ホントに衣が軽い!! 定番が旨いと店の信頼度が上がるってモンです。

キノコの蒸し餃子。噛んだ瞬間、香りが・・・嗚呼。

デザートはマンゴープリン。添えられているのは棗の味の餅。合わせて食べて下さい、って。

食べて一番驚いたアイテムは、春巻き。皮の薄さと揚げ具合、食感の軽さに驚きました。飲茶で春巻きを頼むと、どこでもウスターソースが出てくるんですが、これが慣れると美味しいんですよね。ウスターソース自体もスパイシーで特徴的な感じ。あと、一番美味しかったのは小龍包。私の中では、以前に紹介した『鼎泰豊』の小龍包がベストだと思っていたのですが、いやはや味においてはこちらの方が上かも(値段は高いけどね)。特に、恭しく個別の蒸し篭でサーブされる「蟹粉小龍包」は絶品。また、特筆したいのは添えられる香酢(黒酢)。私の好きな生姜入りのタイプではないのですが、黒酢自体のコクが……ヤバい。黒酢の美味しいものは、赤ワインのようにコクがあるんですよね。思わず、酢だけ「おかわり」して飲み干してしまいました……(こっそりね)。

ちなみに『利苑』に予約無しで突撃して、フラれた時の対処法をお教えしましょう。そこから徒歩5分程度の『半島王府飯店』こと『ペニンシュラ北京』の『鳳庭』は意外と空いていて穴場です。なにせ香港に本拠を置くペニンシュラですからね。本場仕込みの美味しい飲茶が、落ち着いた店内で楽しめます。新しいお店や人気のお店に人が集中する一方で、こういった「カタい(手堅い)店」を抑えておくと便利だと思います。ではでは、他にもオススメしたい店はあるんですけど。それはまあ、別の機会に。ではでは、再見。